2014 Fiscal Year Research-status Report
先天性心疾患におけるデュアルソースCTと逐次近似法を用いた画像診断法の確立
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26861012
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
中川 基生 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60590982)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | CT / 逐次近似画像再構成法 / 先天性心疾患 / 小児 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児先天性疾患に対する低電圧の造影CTのプロトコルを、ファントム実験から得られたデータを参考にし、作成した。その後、造影CTが撮影された実際の症例の画像データ収集を行った。これまでの報告では80 kVの管電圧で撮影することが一般的であったが、本研究により8 kg以下の乳幼児に対しては、70 kVの管電圧が使用でき、より低被曝での撮影が可能であることを明らかにした。従来の80 kVの画像データと70 kVの画像データを比較したところ、70 kVでの撮影の方が造影剤による心血管系の増強効果が有意に高いことがわかったため、造影剤を減量・希釈し投与することが可能となった。しかし、低線量撮影のための画像ノイズとartifactが強くでてしまうという欠点も明らかになった。そこで、70 kVの低電圧撮影に逐次近似画像再構成法を併用することで、画像ノイズとartifactを低減でき、従来の80 kV管電圧での撮影と同等の、臨床的に有用性のある胸部造影CTが撮影できることも明らかにした。本研究の成果は2014年4月の「第73回日本医学放射線学会総会」と、2014年6月の「European Society of Paediatric Radiology 51st Annual Meeting」にて発表し、好評を得ている。これらの学会で他の専門家と意見交換をして得られた情報も参考にし、現在論文を作成し、投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の1年目の目標は、造影CTプロトコルの作成までであったが、順調に進み、さらに実際の症例における画像データ収集も行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度で得られた成果をまとめ、公表するために現在論文作成中である。今後は、得られた造影CT画像データを超音波や心臓カテーテル検査、手術所見など比較し、実際の形態情報をどれだけ正確に得ることができているかを評価する計画をしている。また、本研究は胸部の造影CTを対象に行っているが、頭部や腹部においても同様の技術が応用可能かどうかを検討する予定である。
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Causes of Carryover |
初年度に購入予定であったファントムが当施設の備品で補うことができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
画像解析用のPCとワークステーション、統計解析用のソフトを購入予定。
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