2014 Fiscal Year Research-status Report
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26861018
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
平井 崇久 順天堂大学, 医学部, 助教 (30626669)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 放射線増感 / 陽子線 / PARP阻害剤 / X線 / 血管新生 / CSF-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、がん細胞内の調整に働く分子を標的とした分子標的治療薬の開発は目覚ましく、新たな放射線増感候補薬剤として期待されている。 本研究では、まず放射線や抗がん剤によるDNA損傷の修復経路をターゲットとした分子標的薬剤であるpoly(ADP-ribose) polymerase (PARP)阻害剤の放射線増感効果に着目し研究を進めた。 がん放射線治療において粒子線治療の一種である陽子線治療は、良好な線量分布などの観点から注目を集めている。本研究において、陽子線の放射線増感剤の報告が無いなか、PARP阻害剤の陽子線増感効果を報告した。同報告は、PARP阻害剤が陽子線の放射線増感剤として有用である可能性を示唆する上で重要と考えられる。 また、現在、その他の放射線増感の標的候補分子としてがんの微小環境、特に血管新生に関わる分子に注目し、その阻害剤の放射線増感効果の観察をin vivoにて進めている。これらのうちCSF-1受容体の阻害が骨髄性由来細胞への影響を介して放射線照射後の神経膠芽種の再発を遅延させることを報告した。神経膠芽種細胞株を用いたin vivoでのモデルとして、以前より検討を重ねていた定位的細胞注入法を用いたマウス脳腫瘍モデルを採用した。この方法は、脳由来の細胞株を用いるモデルとして皮下移植と比較しより生理的と考えられる。同方法において、約80%の移植片生着率を確認されたため、今後引き続き同系を用いたin vivoでの放射線増感の効果とメカニズムの解析、さらに癌幹細胞集団に対する影響をフローサイトメトリーやウェスタンブロッティング法を用いて検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
移植片モデルの安定性が得られ、in vivoでの抗腫瘍効果の検討も進んでいる。今後、他の放射線増感候補薬剤の効果とメカニズムの検討も進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
当初、in vivoモデルとして皮下移植モデルを想定していたが、脳由来のがん細胞株を用いる場合、マウス脳への移植がより生理的と考えられたためマウス脳腫瘍モデルを採用することとした。
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Causes of Carryover |
本年度は、実験の大半がデーター収集と解析に費やされたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は実験環境が整っているため、研究費は前年度よりの繰越分も含め、主に消耗品(実験薬剤、実験関連物品、マウス購入費)、論文投稿費用などに使用し、研究を進めていく予定である。
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