2014 Fiscal Year Research-status Report
固形がんの内用療法を可能とする新規放射性核種封入リポソームの開発
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26861034
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
濱道 修生 独立行政法人国立がん研究センター, 臨床開発センター, 研究員 (60721686)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 放射性核種封入リポソーム / 放射性核種 / リポソーム / 固形がん / 内用療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、新規リガンド複合体の一部となる111In-DOTAと111In-DTPA、及び網内系クリアランスが確認されている111In-ECをリポソームに封入し、複数のマウス腫瘍皮下移植モデルを用いて体内分布を解析した。S180皮下移植ddYマウスでは、111In-ECだけが網内系クリアランスが見られたが、EMT6皮下移植BALB/cマウス、並びにCT26皮下移植BALB/cマウスでは、全てのリガンドが排出されなかった。ddYマウスの肝臓ではリポソームの分解が確認されたのに対し、BALB/cマウスの肝臓では大部分がリポソームとして存在していた。したがって、網内系クリアランスのためには、リポソームの処理能力が重要であることが明らかになった。
今後計画している治療実験のため、BALB/cnu/nuマウスを用いた実験を実施した。111In-EC封入リポソームの投与量を減少することにより、ヌードマウスにおいても網内系クリアランスは確認された。また、SPECT/CT装置を用いて、111In-EC封入リポソーム、及び111In-EC封入PEG修飾リポソームの腫瘍への集積と網内系組織からの排出を検討した。これらの結果は、ヒト腫瘍皮下移植モデルを用いた新規リガンド封入リポソームの治療実験に向けて、重要なステップになると考えられる。
111In-ECの網内系クリアランスに関与すると示唆されるトランスポーターの基質に注目し、文献、及びバイオインフォマティクスを利用し、プライオリティー・リストを作成した。本年度は、111In-グルタチオン-DOTA封入リポソーム、及び111In-グルタチオン-DTPA封入リポソームを作製し、S180皮下移植モデルを用いて評価した。その結果、網内系クリアランスは確認されなかったため、新規リガンドの作製を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画通り、1)放射性核種封入リポソームを複数のマウス腫瘍皮下移植モデルを用いて検討し、2)基質のプライオリティー・リストを作成し、3)グルタチオン-DOTA、及びグルタチオン-DTPAを合成した。111In-グルタチオン-DOTA封入リポソーム、及び111In-グルタチオン-DTPA封入リポソームを作製し、S180皮下移植モデルを用いて評価する実験は来年度の計画であり、当初の計画以上に進展しているとも思える。しかし、これらの新規リガンド封入リポソームは網内系組織から排出されず、プライオリティー・リストに戻り、新規リガンドの作製を行なう必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の研究計画は、新規リガンド封入リポソームの評価と治療実験である。まず、網内系クリアランスが可能な新規リガンドの開発を実施し、これらの対応でも目的の達成が難しい場合は、ECと放射性治療核種の安定的な錯体形成の検討を試みる。また、治療実験に向けて、複数のヒト腫瘍皮下移植モデルを検討し、放射性核種封入リポソームの体内動態をSPECT/CT装置を用いて解析する。
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Causes of Carryover |
研究が順調に進展しているため、当初計画していた消耗品(放射性核種)、及び実験動物を最小限に抑えることができた結果、予算に未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の研究では、網内系クリアランスが可能な新規リガンドの開発とヌードマウス(5000円/匹)を用いた治療実験を目指す。
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