2014 Fiscal Year Research-status Report
高感度イメージングシステムを用いた膵島移植における至適免疫抑制剤の検討
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26861037
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西村 隆一 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (90710864)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 膵島移植 / 血管新生 / 免疫抑制剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
同種膵島移植の成績は自家膵島移植に比べて大きく劣っており、その要因の1つとして同種移植における免疫抑制剤の使用が挙げられる。膵島移植はインスリンを分泌する膵島を膵臓から分離して移植するため、膵島が生着し機能するためには移植後早期の新生血管網構築が必要である。我々は、高感度イメージングシステムを用いることにより現在標準的に使用されているタクロリムスが膵島グラフトへの血管新生を抑制することを初めて報告した。同種移植の成績向上のためには、血管新生への影響を考慮した免疫抑制剤の至適化が極めて重要であるが、近年の研究の進展により、膵島グラフトの血管網再構築にはレシピエント側のみならずグラフト由来の血管内皮細胞が深く関与することが判明しており、免疫抑制剤のような外的因子だけでなく、ドナーおよびレシピエントの組み合わせ自体が膵島グラフト周囲の血管新生へ影響を及ぼしている可能性が考えられる。そこで、高感度イメージングシステムを活用し、仮説の検証を行った。 レシピエントにはBalb/c nu/nuマウスを用い、背部にDorsal skinfold chamberを装着して皮下膵島移植モデルを作製した。自家移植モデルは、同系移植モデルで代用した。ドナーとして、自家移植モデルではC.B6-Tg(CAG-EGFP)C14-Y01-FM131Osb/Rbrcマウス、同種移植モデルではC57BL/6-Tg (CAG-EGFP)マウスを使用し、それぞれから分離した膵島グラフトをレシピエントへ移植した。多光子顕微鏡を用いて、移植膵島および移植膵島への血管新生過程を経時的に観察した。移植後二週間の観察期間内において、同系膵島移植群と同種膵島移植群間の膵島グラフト周囲の新生血管体積に有意な差は認められなかった。以上より、自家移植と同種移植において、ドナーおよびレシピエントの組み合わせが膵島グラフトの血管網再構築へ及ぼす影響はほぼ無いことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究目的で掲げた免疫抑制剤の検討に至っておらず、やや遅れていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
高感度イメージングシステムを用いて、現在タクロリムスとともに広く使用されているミコフェノール酸モフェチルやシスロスポリン、血管新生抑制効果が少ない可能性のあるFTY720を投与した際の膵島グラフト自体の形態学的変化の観察や膵島グラフトに対する新生血管量の定量を行い、それぞれの免疫抑制剤の膵島へのダメージや血管新生抑制効果について検証する。また、レーザーマイクロダイセクション法およびリアルタイムPCR法を用いることにより、それぞれの免疫抑制剤が膵島グラフトの遺伝子発現にどのように影響するかを解析する。これらの結果をふまえて、膵島グラフトに対するダメージや血管新生抑制効果がより少ない免疫抑制剤を明らかにする。
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Causes of Carryover |
研究がやや遅れており、免疫抑制剤を用いた研究に入っていないため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ミコフェノール酸モフェチルやシスロスポリン、血管新生抑制効果が少ない可能性のあるFTY720などの免疫抑制剤や実験動物、成果報告のための学会出張費、論文作成などの代金に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)