2014 Fiscal Year Research-status Report
スリーブ胃切除術における耐糖能改善機序の解明:糖代謝へ影響するグレリン変化の解析
Project/Area Number |
26861047
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮崎 安弘 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00571390)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 腹腔鏡下スリーブ状胃切除術 / グレリン / 2型糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,マウスを用いた腹腔鏡下スリーブ状胃切除(以下,LSG)モデル作成に着手した.まず,LSGモデルマウスを用いた,LSG耐糖能改善効果機序解明目的に1)グレリン,インスリン,GLP-1との関係および2)残胃グレリン発現状況と糖尿病改善効果の関係を検証する内容についてプロトコルを作成し,大阪大学倫理委員会にて承認を得た.マウスLSGはモデルとして作成が難しいことが想定されていたため,手技の確立と安定化を狙いまず3匹にLSGを施行した.しかしながらいずれも縫合不全による術死となり原因として縫合閉鎖ステープリングの方法および用いる針糸の太さが影響すると考えられ,それらを改良し,さらに3匹のLSGを施行した.これらは術後経過良好で経過中である.この3匹のマウスについては術後リバウンドをきたしたのちに儀死させ,体内グレリン発現状況をRT-PCR法にてグレリンmRNA発現量を測定予定である.今後,インスリン抵抗性マウスなどに対するLSGを施行し,耐糖能改善効果機序について検討する予定である.上記動物実験と並行して,平成27年度予定した研究計画(当科でLSGを施行され1年以上経過した患者に対する残胃グレリン発現状況検証)についてもプロトコルが倫理委員会にて承認を得たので,残胃小彎の胃粘膜生検サンプル採取および臨床データ収集・血液サンプル採取を開始している.Preliminaryなデータではあるが,実施計画書に記載した仮説どおり,LSG術後残胃小彎胃粘膜にはグレリン発現量が多いことが確認できている. 動物実験モデル作成にやや難渋したものの,おおむね研究計画は順調に進んでおり,H27年度にこれらの実験データの集積・解析を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画プロトコルが倫理委員会にて承認を得ることができ,予定通り動物実験を開始することができた.マウスLSGはモデルとして作成が難しいことが想定されていたため,手技の確立と安定化を狙いまず3匹にLSGを施行した.しかしながらいずれも縫合不全による術死となり原因究明を行った.結果として,縫合閉鎖ステープリングの方法および用いる針糸の太さが影響すると考えられ,それらを改良することで,生存が可能となった.LSGモデルマウスが確立したので,このマウスについては術後リバウンドをきたしたのちに儀死させ,体内グレリン発現状況をRT-PCR法にてグレリンmRNA発現量を測定予定である.今後,インスリン抵抗性マウスなどに対するLSGを施行し,耐糖能改善効果機序について検討する予定である.上記動物実験と並行して,平成27年度予定した研究計画(当科でLSGを施行され1年以上経過した患者に対する残胃グレリン発現状況検証)についてもプロトコルが倫理委員会にて承認を得たので,残胃小彎の胃粘膜生検サンプル採取および臨床データ収集・血液サンプル採取を開始している.Preliminaryなデータではあるが,実施計画書に記載した仮説どおり,LSG術後残胃小彎胃粘膜にはグレリン発現量が多いことが確認できている. モデル作成に難渋したものの手技の改良により克服することができた.動物実験については手技が確立したため,今後ノックアウトマウス(GLP-1欠損など)も加えて,LSGを施行し,データ回収に努めることが可能となった.また,ヒトLSG術後患者に対する研究計画についても倫理委員会承認を得ることができ,実際26年度にLSGを施行された患者については,全員において承諾を得ることができ,サンプル採取がスタートしている.以上から,27年度研究計画への移行は比較的スムーズに進むと考えられ,達成度を上記と設定した.
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Strategy for Future Research Activity |
LSGモデルマウスとして,インスリン抵抗性マウスおよびGLP-1ノックアウトマウスを用いる予定である.しかしながら,後者については取得,管理が難しい可能性があり,研究計画の変更(ノックアウトマウスではなく,GLP1阻害薬の使用など)を検討しておく.また,マウスから術後経過中の血液サンプル採取(特にグレリン)は手技的・動物的に困難であることが,26年度において判明した.よって,血液サンプル採取は儀死時のワンポイントし,術前データは別のマウスを儀死のうえ採取する形とする. ヒトにおいては,LSG施行予定患者に術前より研究内容を説明,同意確認を得たうえで,術前および術後における胃粘膜採取および血液サンプル採取を行っていく.2型糖尿病(T2DM)を合併していた当科LSG術後患者(術後経過期間1年以上)が対象となるが,症例が足りない場合は他施設に協力を依頼する.術後,T2DMに関する薬剤が完全中止となり、かつHbA1c≦6.0(JDS基準)を満たす場合完全寛解、それ以外の場合を不完全寛解と定義したうえで,上記症例に対して、上部消化管内視鏡検査を施行し、残胃ステープルライン近傍で、口側から肛門側にかけて、胃粘膜生検を2~4か所施行する。これら粘膜のグレリンmRNA発現量を定量評価し、4か所の合計発現量を残胃グレリン発現量と定義し,完全寛解群と不完全寛解群間で、残胃グレリン発現量を比較検討する予定である。10例程度のデータを解析したうえで,結果をまとめて論文化する.
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Causes of Carryover |
今年度に必要な物品を購入したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度に必要な物品を購入するため。
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