2015 Fiscal Year Research-status Report
ERとHER2のクロストークによる乳癌薬物治療抵抗性機序の解明
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26861055
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
徳田 恵美 順天堂大学, 医学部, 助教 (70621960)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 乳癌 / ER陽性HER陽性 / クロストーク / 薬物療法抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ER陽性HER2陽性乳癌における薬物療法抵抗性の機序を解明するために、以下の実験を行った。 ①昨年度ER陽性HER2陽性である、乳癌細胞株BT474にハーセプチン(HER)を長期投与(約5か月)し、ハーセプチン耐性株を樹立することができた(BT474-R)。親株であるBT474とBT474-RにER陽性乳癌の薬物療法であるタモキシフェン(TAM)群と、TAMとHER療法を添加する群を比較したところ、TAM+HERでは親株、耐性株の感受性に変化は認められなかったが、TAM単剤では親株と比べ耐性株は増殖抑制され薬剤投与効果を認めた。このことよりER陽性HER2陽性乳癌細胞株はHER耐性を獲得することでTAMの感受性が高くなることを示すことができた。
②BT474、BT474-R細胞について、ハーセプチンの投与の有無によるHERシグナル、ERシグナル関連蛋白の発現、リン酸化の発現について検討した。HER投与を行わない細胞株間の比較において、ERの発現は親株、耐性株を比較したところ変化は認められなかったが、ERの標的遺伝子の1つであるPgRの発現が親株では認められたことに対しBT-474Rでの低下を認めた。HER投与を行った細胞株間の比較をすると、親株はERの変化は認められなかったが、PgRの発現低下、またBT474-R細胞においては逆にPgRの発現上昇を認めた。HER長期投与により、ERの標的遺伝子の変化を認めたことから、HER長期投与がERのシグナル伝達に何らかの影響を与えることがわかった。今後はさらに実験を行い、影響があたえられたサイトにつき確認する予定である。
③BT474、BT474-R細胞について、網羅的遺伝子解析を行った。データを得ることができたため、今後そのデータの解析を行い、長期HER投与により細胞株に対しどのような遺伝子変化をもたらすかかにつき検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ハーセプチン耐性株を作成することに時間がかかってしまい、その後に続く実験を行うことに時間がかかってしまったこと。 網羅的遺伝子解析の結果を得てから、結果のデータ解析が難しく時間がかかってしまったため。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞株が安定して増殖するようになってきたため、蛋白発現検索を継続して行っていく予定である。
網羅的遺伝子解析のデータ解析を行うための知識が乏しく、研究室内でなく今後統計専門家に統計解析を依頼することも検討している。
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Causes of Carryover |
網羅的遺伝子解析のデータ解析が遅れてしまったため、蛋白発現解析が遅れてしまったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ解析に必要な統計専門家へのコンサルト 蛋白解析発現に必要な機器・薬剤・抗体の購入 最新のER陽性HER2陽性乳癌の治療に関する知識収集のための海外学会出張
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Research Products
(2 results)