2014 Fiscal Year Research-status Report
S1P,アデノシン,トロンボポエチンを用いたNASHの線維化抑制治療の開発
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26861059
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
久倉 勝治 筑波大学, 医学医療系, 講師 (60550168)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | NASH / NAFLD / 肝臓X受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝臓X受容体(Liver X Receptor、LXR)の作動薬であるLXR activatorはアテローム性動脈硬化症等の薬剤であるが, その副作用で脂肪肝をきたすことが知られている. われわれはLXRに着目し, 今年度は新たなNASHモデル動物の作成を試みた. 新規NASHモデル作成方法は, High Fat食を給餌したC57BL/6N 雄 miceにCCl4およびLXR activatorを腹腔内投与することで作成した. 実験群をCCl4単独群(control群), CCl4+溶媒群(溶媒群), CCl4+ LXR activator群(NASH群)の3群に分け, 比較検討した(各n=3). 体重増加率はcontrol群:溶媒群:NASH群=31.3%:20.5%:22.6%と全群で増加していた. 肝体重比は4.4±0.7:4.4±1.0:7.0±1.0とNASH群で有意に上昇していた. 生化学検査ではAST/ALT/T-cho/TG/Gluともに3群間で有意差は認めなかった. 組織学的評価ではHE染色およびMasson trichrome染色, Sirius red染色, Oil red染色を施行し, 各群において炎症細胞浸潤および繊維化を認めたが, NASH群においてより強い脂肪化・肝細胞風船化・マロリー小体を認めた. Real time PCRではNASH群においてSREBP-1cの上昇が見られ, さらにfasの上昇およびApoB100の低下を有意に認めた.新規NASHモデルはこれまでの飢餓モデルとは違い体重減少を認めず, また肝体重比の有意な上昇も認めており, よりヒトNASHに近い有効なモデルであると考えられた. また, 脂肪合成能の上昇および脂質輸送能の低下から著明な脂肪肝を認め, 組織学的に繊維化および炎症細胞浸潤, さらにマロリー小体を認めておりNASHの病態を反映したモデルであると考えられた. 再現性も認めており, 今後NASHに対する治療法の確立のため, 更なる研究を継続する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NASHモデルの評価として、ヒト NASHの病理診断に準じた評価を施行し、病理学的にもNASHと診断できる評価を得られた. また歩留まりもよく,再現性があることから実験動物としての汎用性を示すことが出来た. 今後は予定している薬剤投与実験を開始し, NASHのメカニズム解析を施行する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り進めていく。まずはNASHモデルにおける肝再生障害メカニズム解明およびS1P投与による肝再生促進効果の確認を施行する。
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Causes of Carryover |
本年度はNASHモデル作成に時間をかけたため、予定していたS1P投 与による肝再生促進効果等の実験が未施行であるために、次年度使用額が生じる結果となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の予定通り実験を遂行していくために使用する予定である。
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