2015 Fiscal Year Annual Research Report
門脈阻血に伴う多臓器うっ血の周術期における影響と多臓器相関
Project/Area Number |
26861064
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
林 泰寛 金沢大学, 大学病院, 助教 (20543656)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 小腸 / 門脈 / 肝臓 / うっ血 |
Outline of Annual Research Achievements |
先ず,control群としてrat門脈30分間阻血後再灌流modelを作成したが,1週間生存率は50%であった.また,小腸の組織学的検討では,絨毛構造の破壊と粘膜の浮腫を認めた. 門脈うっ血に伴う障害の軽減策として,congestive preconditioning(CPC)を導入するmodel(5分阻血5分灌流を3回繰り返す(計30分))を考案した(CPC群).Control(前処置なし)群と比較して1週間生存率は有意に改善(100% vs 50%: p < 0.05)した.また,両群間の小腸組織像について比較検討を行ったところ,再灌流後6時間経過の検体においてCPC群はcontrol群と比して小腸の絨毛構造が保たれていた.これをPark scoreを用いて定量化し評価したところ,有意な改善を示した(p < 0.01).加えて,うっ血に伴う小腸障害はapoptosisに関連したものであるという従来の報告を踏まえ,両群のapoptosis関連物質について免疫組織化学的検討を行った.Apoptosisそのものに差は認められなかった.しかし,抗Cleaved caspase-3抗体および抗Bcl-xL抗体による免疫染色において,CPC群では抗apoptosis的な変化が強く認められた.一方で,肝組織像においてもCPC群において肝障害の程度は軽かったが,肺の組織像に差は認められなかった. これらの検討から,rat門脈うっ血modelにおいて,短時間の門脈うっ血と還流を繰り返すCPCの導入は門脈うっ血に伴う小腸障害の軽減に有用でることが示された. 今後はその有用性の詳細につき,分子生物学的手法を用いて検討を重ねていく.
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