Outline of Annual Research Achievements |
①ヒト胃癌細胞株 MKN45, MKN45/PAR1およびPAR1発現を確認しているMKN74 cell lineを用いて, Hippo-YAP pathwayにおけるLATSおよびにYAPの脱リン酸化について, Kinase assay とwestern blot法で検討を行った. PAR1 agonistによるPAR1活性化状態では, リン酸化LATS1の細胞質内での発現量の低下,及びに脱リン酸化状態のYAP1の核内への移行が確認された. ②PAR1 signalの下流に位置するRhoAとHippo pathwayの関連を,RhoA活性を抑制するC3を用いて検討した. PAR1 agonistによるPAR1活性化状態で, C3によるRhoAの活性を抑制すると, リン酸化LATS1の細胞質内での発現量は変化せず, そのためYAP1もリン酸化状態を維持するため,YAP1の核内移行は極めて少ない量であった. ③YAP1発現をsiRNAによる抑制状態下での, PAR1 agonist によるEMT誘導を, markerとなるE-cadherin発現量の変化やSnailの核内発現量の変化にて検討を行った. また, PAR1によるEMTの誘導に関わるRho を抑制するC3を用いて, Rho活性を抑制した状態でも, E-cadherinとSnailの発現量変化にて検討を行った. さらに, Snailの発現をsiRNA用いて抑制した場合の, YAPの脱リン酸化についても検討をおこなった.YAP発現抑制状態, Rho活性抑制状態ともに, E-cadherin発現量やSnailの発現量には変化は認められなかった. また, invasion assayやmigration assayにおいても両分子の抑制状態ではPAR1 agonistによる刺激をおこなっても, ヒト胃癌細胞 MKN45/PAR1とMKN74 cell lineの遊走能の増強は認められなかった. Snail発現抑制状態であっても, PAR1 agonistによるYAPの脱リン酸化は誘導され, YAPの核内移動も確認された. PAR1によるEMTの誘導にはRhoおよびYAPが深く関連し, Snailの発現はそれらmoleculeによるsignal pathwayの下流に存在することが示唆された.
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