2014 Fiscal Year Research-status Report
肝細胞癌に対する抗癌剤および造影剤内包高分子ナノミセルを用いた新しい治療法の開発
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26861067
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
貝田 佐知子 滋賀医科大学, 医学部, 特任助教 (70710234)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | polymeric micelle / drug delivery / hepatocellular carcinoma / Gd-DTPA / DACHPt |
Outline of Annual Research Achievements |
プラチナ系抗癌剤Oxaliplatinの前駆物質であるDACHPtと、T1強調MRI造影剤であるGd-DTPAの両方を内包したDACHPt/Gd-DTPA内包高分子ミセルを作成し、N1-S1 hepatoma cellをラットの肝臓に移植して作成した肝癌モデルにおいて、肝動脈より当該ミセルを注入し、MRI造影効果と抗腫瘍効果の両方を確認することができた。 当該ミセルは高分子ミセルとして約33nmでEnhanced Permeability and Retention 効果(EPR効果)により血管透過性の亢進した腫瘍内部の血管から腫瘍内に選択的に送達でき、長い血中滞留性、内包する薬剤の徐放性を確認した。またMRI造影力の指標である緩和能はGd-DTPA(3.4 mM-1S-1)に比べ20倍以上(80.7 mM-1S-1)を示し、ミセル内部でGd-DTPAがポリマーと結合することで固定化されるためにこのような特殊効果が現れると考えた。 HCC移植ラットモデルに当該ミセルを投与したところoxaliplatin投与群に比べ有意に腫瘍の成長を抑制し、生存日数もミセル投与群がOxaliplatin投与群、生食投与群に比べ有意に延長した。 MRI造影効果も同濃度のGd-DTPA投与群に比べ、造影効果は有意に高く3時間以上持続した。 このように抗腫瘍効果とMRI造影効果を同時に合わせもつ高分子ミセルをHCC移植モデルで効果確認できた報告は他になく、今後ヒトへの応用や異なる腫瘍モデルへの応用が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラット肝癌モデルにおいて、DACHPt/Gd-DTPA内包高分子ミセルの肝動脈よりの投与により、腫瘍増殖の抑制、生存率の改善に有意差を認めた。この成果の一部を論文にまとめ学術雑誌に投稿した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、今回の結果について学会発表を行い、討論を通じてさらに研究の位置づけ、改善点を確認する。また、異なる腫瘍に対する効果を確認する予定である。
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Causes of Carryover |
データの整理、追加実験および論文化、学会発表の費用のため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
追加実験のための器具購入、学会発表の旅費、参加費。
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