2014 Fiscal Year Research-status Report
ヒト腸管粘膜固有層におけるCD14-CD11c-細胞の機能解析
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26861068
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大澤 日出樹 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (10724263)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ヒト腸管粘膜固有層 / 樹状細胞 / 樹状細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
非炎症性腸疾患におけるCD14-CD11clow細胞の細分化:ヒト大腸正常部の腸管粘膜固有層を採取し、FACSにてLineage marker(CD3,CD19,CD20,CD56)陰性HLA-DR陽性CD14陰性CD11c陰性の細胞サブセットはCD141によってCD141high細胞とCD141low細胞に2分されることが分かった。さらにこれらの細胞をsortingしMay-Giemsa染色をしたところ円形でN/C比がリンパ球に比し小さい細胞であった。また、sortingした細胞のcDNAライブラリを作成した。 各サブセットのサイトカインおよびTLRの発現解析:各サブセットのcDNAをPCRによりサイトカイン及びTLRの発現を解析した。CD141high細胞はIL6, IL12p40,IFNγの発現が比較的高く、CD141low細胞はIL6,IL12p40,IFNγ,IL23,TGFβのいずれのサイトカインの発現も低値であった。TLRの発現解析に関してはTLR3,TLR4,TLR5,TLR7,TLR9に関して解析した。CD141high細胞はTLR4の発現が高くCD141low細胞はTLR9の発現が高かった。次にTLR ligandに対するサイトカイン産生を解析するためsortingした細胞にTLR ligandを投与し、ELISAによってサイトカイン産生を解析した。樹状細胞と考えられるLin-HLADR+CD11c+のサブセットをコントロールとして解析したが、CD141high細胞, CD141low細胞のいずれの細胞もサイトカインの産生は微小であった。健常人での正常部位の大腸粘膜固有層におけるCD141high細胞,CD141low細胞の解析ではCD141high細胞は炎症形成に関わっていることが示唆される。今後は炎症状態でのこれらサブセットの機能の解析を炎症性腸疾患患者の検体を用いて行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト正常腸管の検体入手は滞りなくできているが、サンプルさいずにより採取できる腸管粘膜固有層の単核球の数が限られており、採取できる細胞数が少ないときがある。細胞数が少なければsort後の実験に支障をきたし十分な解析が行えないことがある。特にmRNA抽出においては細胞数が少なすぎqualityのよい十分なmRNAが抽出できず、cDNAライブラリの作成は困難を極めた。検体入手が手術症例であるため手術の有無及び切除腸管の大きさが実験施行及び実験結果に大きく影響している。また、主に大腸を用いて実験を行っているが大腸の部位によっても樹状細胞のpopulationに違いがあり、十分な症例数を用いて解析する必要があると考えられた。また、炎症性腸疾患の手術症例は大腸癌の症例数に比し少なく検体入手はさらに困難を極めると考えられる。そのような制約下でも検体の酵素処理およびsorting方法の見直しにより上記の実験実績を挙げることができていることは評価すべきことであると考える。最後に、現在解析しているCD141high細胞及びCD141low細胞はHLADRのみが陽性である細胞集団であるため実際にmyeloid cellかどうかを検討する必要があると考えられ、マイクロアレイによる解析が必要な状況となっている。マイクロアレイを行うためには最低10症例分のCD141high細胞とCD141low細胞細胞を集める必要があり、今後さらなる症例の集積が必要と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
【正常腸管におけるCD141high細胞とCD141low細胞の機能解析】 今後はsortingしたCD141high細胞とCD141low細胞にTLR ligandによる刺激を加え、サイトカイン産生をELISAにより解析する。CD141high細胞とCD141low細胞の局在を評価するため切除標本のパラフィンブロックを作製し、免疫染色により評価する。またマイクロアレイ解析とCD141high細胞及びCD141low細胞の表面マーカーを解析し、myeloid cellかどうかを検討する予定である。さらにNaïve T cellとsortingしたCD141high細胞とCD141low細胞を共培養し、T細胞の分化誘導実験を行う。 【炎症状態におけるCD141high細胞とCD141low細胞の機能解析】 炎症性腸疾患の手術症例を用いて炎症状態におけるCD141high細胞とCD141low細胞の機能解析を行う。方法としては正常腸管と同様にsortingを行いCD141high細胞とCD141low細胞のcDNAライブラリを作成し、qRT-PCRによりサイトカインとTLRのmRNAの発現解析を行う。さらにTLRリガンドによる刺激によるサイトカイン産生をELISAにより解析し、Naïve T cellとの共培養によりT細胞の分化誘導能を評価する。また、CD141high細胞とCD141low細胞の細胞の局在を免疫染色により評価しする。ただし、炎症性腸疾患の症例は限られており、検体入手に難渋することが予想される。そのため他施設から検体入手が可能となるよう手配を進めているところである。
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Causes of Carryover |
今年度に必要な物品を購入したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度に必要な物品を購入するため。
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