2014 Fiscal Year Research-status Report
miRNAを利用した細胞初期化技術による薬剤抵抗性悪性腫瘍への治療開発
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26861073
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
富原 英生 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (30724231)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | miRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
リプログラミング技術は、再生医療の他、獲得した薬剤耐性を解除する側面をもつと考えられている。教室では2006年にYamanakaらが報告した4つの転写因子を癌細胞に導入し悪性度が低下することを報告した。しかし、この手法は転写因子に癌遺伝子であるc-Mycを含む問題や技術的な閾値が高い問題があるため、解決方法としてmiRNAに着目しES細胞とiPS細胞のmiRNAの発現の網羅的解析を通じ、共通に発現するmiRNAを導入することで体細胞のリプログラミングを開発した(Miyoshi N, et al. Cell Stem Cell 2011)。 先行研究においてmiR-302を肝癌細胞株に導入することでリプログラミングに成功した。リプログラミングのメカニズムとしては、エピジェネティックな変化による細胞の初期化が考えられており、体細胞リプログラミングに用いたmiRNAのうち上述の研究成果からmiR-302に着目し、miR-302の複数の標的遺伝子のうちエピジェネティック関連分子であるLSD1/2、MECP1/2に着目した。LSDはヒストンの脱メチル化により転写を抑制することが報告されている(Shi Y, et al. Cell 2004)。また、LSD1がc-Myc発現のトリガーとなることが報告されている(Aments S, et al. Oncogene 2010)。 本年度の研究実績の概要として、癌細胞のリプログラミングによる性質の変化をもたらすメカニズムの解明を目的とした実験系として、miR-302の導入により初期化をおこなった肝癌細胞株のsphereにおいてエピジェネティック関連分子であるLSD1の発現を細胞免疫組織化学染色、qRT-PCRで検討し、LSD2の発現が低下していることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先行研究において、体細胞リプログラミングに用いたmiRNAの一部を肝細胞癌株に導入することでリプログラミングに成功したが、限られた細胞株を対象にしたことやリプログラミング効率が低い問題などがあった。そのため、細胞株については、教室で保有している他癌細胞株へ対象を拡げリプログラミングの検証を行うこととした。リプログラミング効率の検討については膵癌細胞株では、Oct4、Sox2、Klf4、cMycの4因子を導入すると癌幹細胞分画の細胞でリプログラミングされやすいことを確認した(癌の4因子を用いたリプログラミング自体はMiyosiらにより報告済み)。また先行研究にしたがって大腸癌細胞株に対してもmiR-302を導入することでリプログラミングできることを確認した。 これらの実験では効率が問題となり、再現性の確認に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
肝癌細胞株に対するリプログラミングについて、エピジェネティック関連分子の発現の意義を検討し、エピジェネティックな変化を通じたリプログラミングが癌にもたらす影響のメカニズムを解明する。具体的にはsiRNAを用いた阻害を行い、その条件下での細胞の性質の変化を検討する。検討項目としては増殖、形態学的変化、薬剤感受性、アポトーシスなどの他にヒストンのメチル化を中心としたエピジェネティックな変化を考えている。これらのエピジェネティック関連分子のうち、LSD1については選択的LSD1阻害剤が存在し、LSD1阻害下においてもsiRNAと同様な変化がもたらされるかどうかについても検討する。 HDAC阻害剤としていくつか候補があるが、リプログラミング効率に影響を与えると報告されている(Huangfu D, et al. Nat Biotechnol 2008)、バルプロ酸(VPA)について検討を行う。VPAによる肝細胞癌への影響については既に報告されているが、単剤での投与であり、LSD1阻害剤との併用による影響を検討する。抗腫瘍効果という側面だけでなく、ヒストンのメチル化、アセチル化への影響を中心に検討する。 また、リプログラミング関連miRNAの導入による治療効果を動物実験においても検討する。リプログラミングを行った肝癌細胞株を異種移植モデルに皮下移植し細胞変化についての検討を行う。また肝細胞癌異種移植モデル(肝/皮下)に対しリプログラミング関連miRNA、HDAC阻害剤を投与し、腫瘍の増大速度や生存期間について比較検討、解析を行う。
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Causes of Carryover |
今年度に必要な物品を購入したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度に必要な物品を購入するため。
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