2015 Fiscal Year Annual Research Report
エキソーム解析を用いた遺伝性胃癌の原因遺伝子の探索
Project/Area Number |
26861076
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
和田 範子 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (40645090)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 家族性胃癌 / エキソーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、エキソーム解析にて得られた家族性胃癌の患者とその両親に共通する変異の中から、他の家族性胃癌患者の胃癌組織および非癌部でも共通するものを検索することで、家族性胃癌の原因となりうるgermline mutationを同定し、遺伝素因の一部を解明することを目的とする。 先行研究において、1組の家族性胃癌家系においてエキソーム解析を行い、遺伝性胃癌の原因となりうる遺伝子の候補を117個選出した。平成26年度は、文献的報告や孤発性胃癌での変異頻度を基に、候補遺伝子をさらに16個に絞り込んだ。そしてまずはそれらのうちの5つの遺伝子変異について、エキソーム解析の結果が正しかったかどうかの確認を行う目的で、エキソーム解析を施行した家族性胃癌患者およびその両親の血液サンプル、家族性胃癌患者の切除サンプル(癌部・非癌部)を用いてダイレクトシーケンスを行った。さらにこの家系とは別に、新たに1組の家族性胃癌患者とその叔父(胃癌発症者)・叔母(胃癌非発症者)の全血から白血球ゲノムDNAを抽出し、次世代シーケンサーで全エキソン配列を決定し、変異部位を網羅的に検出した。得られた変異のうち、発症者である本人と叔父のみに共通してみられる変異を絞り込み、遺伝性胃癌の原因となりうる遺伝子変異の候補を58個選出した。なお、エキソーム解析を行った2家系の発症者間では共通するgermline mutationを認めなかった。 平成27年度は、1組目の家系内の、別の胃癌発症者の切除サンプルの癌部・非癌部を用いて、選出した5つの遺伝子変異を有するかをダイレクトシーケンスで検索した。その結果、2つの遺伝子変異を持つことが分かったため、現在この2つの遺伝子について、胃癌細胞株を用いたSiRNAを行い胃癌における機能を解析しているほか、他の胃癌の切除サンプルで免疫染色を行い、発現を確認している。
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