2014 Fiscal Year Research-status Report
門脈圧亢進症/肝線維化に対するリポソーム化Rhoキナーゼ阻害剤を用いた治療法
Project/Area Number |
26861078
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
黒田 慎太郎 広島大学, 大学病院, 医科診療医 (30457246)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 肝線維化 / リポソーム / Drug Delivery System |
Outline of Annual Research Achievements |
われわれはこれまでの研究で、肝星細胞の活性化はRhoキナーゼ阻害剤で抑制できることを報告してきた。今回、肝星細胞の制御による肝線維化の改善を最終目標に、肝星細胞に選択的なリポソーム体によるDrug Delivery Systemを確立することに挑戦した。 ・リポソーム複合体の最適化、肝星細胞への標的指向性の確認:用いるリポソーム製剤ごとの内包化率を検証し、正荷電リポソームでのRhoキナーゼ阻害剤の内包化率が最も高いことを確認し、それに肝星細胞に選択的なリガンドとして、ビタミンAを付加した、リポソーム化Rhoキナーゼ阻害剤複合体を作製した。(1)このGFPを用いたリポソーム体をラットに全身投与し、肝、心、肺、腎、小腸、脾臓への取り込みの定量化を行い、このリポソーム体が肝の星細胞に選択的に取り込まれていることを明らかにした。 ・同じく肝星細胞の機能不全によって起こる微小循環障害が一因と考えられる、虚血再灌流障害モデルにおけるリポソーム体の有効性の確認:作製したリポソーム体がRhoキナーゼ阻害剤単剤と比較し1/100の投与量でラット分離肝星細胞の活性化を抑制し(collagen gel-contraction assay、ファロイジン染色で確認)、ラット脂肪肝虚血再灌流障害モデルにおいても同様に1/100の投与量で肝機能、生存率を改善した。また、低血圧などの有害事象も軽減できることを明らかにした。 ・ラット肝硬変モデルに対する同リポソーム体の有効性(門脈圧低下、線維化の抑制)を検討:四塩化炭素を用いたラットに肝線維化を誘導し、免疫組織学的に肝線維化の程度を定量することで安定したモデルを作成した。このラットにリポソーム体とRhoキナーゼ阻害剤単剤の投与を行い、効果を測定中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に示した通り。各項目において、ある程度の達成状況にある。
上記の経過を下記論文に発表している。
Rho-kinase inhibitor targeting the liver prevents ischemia/reperfusion injury in the steatotic liver without major systemic adversity in rats. Kuroda S, Tashiro H, et al. Liver Transpl. 2015 Jan;21(1):123-31.
|
Strategy for Future Research Activity |
もっとも時間を要した、薬剤の調整についてはある程度の目途が立ちつつあり、同薬剤の単回投与による虚血再灌流障害モデルにおける有効性の確認も行えた。今後は、肝線維化(肝硬変)モデルへの有効性を確認するため、まずはラット肝硬変モデルの安定的な作成が必要であり、同モデルへの投与回数、投与量の設定等を確認しながら決定していく。また、ある程度の効果が確認できたところで、研究計画にあるようにin vitroの検証も積み重ねていく予定である。
|
Research Products
(3 results)