2014 Fiscal Year Research-status Report
膵組織から膵幹細胞の分離方法の確立と、膵外分泌機能不全に対する治療方法の開発
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26861080
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
近藤 成 広島大学, 大学病院, 病院助教 (00712217)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 膵幹細胞 / 膵腺房細胞の分化・増殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵幹細胞からの膵腺房細胞の分化・増殖、また得られた膵腺房細胞を膵切除モデル実験ラットに移植することによる、膵外分泌機能改善効果について検討した。まず、タモキシフェン誘導性CreloxP系を用いてSox9発現細胞の解析を行った。膵についてはSox9は膵管および腺房中心細胞に発現しており、そこから腺房細胞の供給がされていることから、膵の幹細胞を選択的に収集する方法を検討していくことが可能であった。 膵島移植における膵島の分離にはコラゲナーゼによる処理や遠心分離などが用いられているが、膵の幹細胞の分離についても同様な手法を行い、LacZ標識された幹細胞を選択的に収集できる方法を検討した。ES細胞からの膵外分泌細胞の分化誘導の研究では、膵幹細胞はPDX-1を発現し、膵外分泌細胞への分化に関してはFGF7、glucagon-like peptide-1(GLP-1)、nicotinamideなどが関連していると報告されているが、我々は成熟した膵組織にPDX-1を発現する細胞があるか、また成熟膵組織に対しFGF7・GLP-1・nicotinamideなどを投与することで膵腺房細胞を増殖させることが可能かどうかを検討したが、PDX-1を発現する細胞の存在は確認したが、現時点では膵腺房細胞を増殖は得られていない。 膵幹細胞からの分化誘導の検討では、得られた細胞に対し、膵腺房マーカーとしてトリプシンとアミラーゼの免疫組織化学的検索を行い、腺房細胞としての機能の有無について確認を試みたが、現時点で膵幹細胞の分離、膵腺房細胞への分化誘導・増殖の方法が確立できていないため、次年度の課題となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現時点では膵腺房細胞を増殖は得られていないため、次の段階である50%・90%膵切除モデル実験ラットで得られた膵組織から膵幹細胞を分離し、膵腺房細胞へ分化誘導・培養し、膵切除ラットモデル・膵外分泌不全ラットモデルへの膵幹細胞・膵腺房細胞を再度移植する実験を行うことができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、成熟膵組織に対しFGF7・GLP-1・nicotinamideなどを投与することで膵腺房細胞を増殖させる方法を確立することが、急務である。その後に、移植を行わなかった群と栄養状態を血液検査にて評価して比較を行い、膵腺房細胞移植の効果を検討する。 移植後の膵組織を採取し、移植した細胞の生着の程度について組織学的な検討を行うことを、当面の目標とする。
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Causes of Carryover |
膵腺房細胞を増殖は得られていないため、次の段階である50%・90%膵切除モデル実験ラットで得られた膵組織から膵幹細胞を分離し、膵腺房細胞へ分化誘導・培養し、膵切除ラットモデル・膵外分泌不全ラットモデルへの膵幹細胞・膵腺房細胞を再度移植する実験が次年度へ持ち越しとなったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
膵幹細胞からの分化誘導の検討において、現時点で膵幹細胞の分離、膵腺房細胞への分化誘導・増殖の方法が確立を確立するための実験を行う。次に、ES細胞から膵腺房細胞の分化誘導について研究し、得られた膵腺房細胞を膵切除モデル実験ラットに移植することによる、膵外分泌機能の改善効果について検討する。
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