2014 Fiscal Year Research-status Report
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26861125
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
立松 勉 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 臨床研究医 (40721874)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | NTRK / AZD7451 / KM12 / 転座 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.NTRK1転座とNTRK2,3遺伝子発現の検索 非小細胞肺癌268例(腺癌198例、扁平上皮癌70例)についてNTRK1の転座(MPRIP-NTRK1,CD74-NTRK1)をRT-PCRとダイレクトシークエンスで検索した。結果、当院の症例ではNTRK1転座を認めなかった。NTRK1転座例が1例も得られなかったため、FISHでの評価は断念した。さらに、肺内分泌大細胞癌(LCNEC)4例を含む、肺癌27例に対し、PCR、ダイレクトシークエンスを行い、NTRK2,3の発現を検索したが、発現例は認めなかった。 タンパク発現を調べるため、パラフィンブロックが得られたLCNEC4例を含む肺癌61例に対し、TRKA(NTRK1),TRKB(NTRK2)について免疫染色を施行した。結果、TRKAの高発現例はなく、TRKBではLCNEC1例で高発現を認めた。高発現例について再度、ダイレクトシークエンスで確認したが、NTRK2遺伝子発現は検出されなかった。 2.定量的PCRによる遺伝子増幅の解析 肺腺癌74例について定量的PCRでNTRK1遺伝子領域のmRNAlevelを腫瘍組織、正常組織でそれぞれ施行した。結果、mRNAlevelの腫瘍(t)/正常(n)比>1の症例が4例あったものの、mRNAlevelの高い症例は認めなかった。さらにLCNEC4例を含む肺癌18例に対し、NTRK2,3遺伝子領域のmRNAlevelを同様に測定したが、t/n比>1の症例は認めなかった。定量的PCRではNTRKの高発現例は検索できなかった。 今回、この検討で、NTRK1転座が欧米と比較して、本邦では少ない遺伝子異常である可能性が示唆された。正確な頻度の検討についてはさらに多くの症例の蓄積が必要となると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本邦では欧米に比べNTRK1転座の頻度が少ない可能性が示唆され、研究目的の達成度としてはおおむね順調と思われる。ただし、当該遺伝子転座例が1例も検索できていないため、正確な頻度の推定まではかなわなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
NTRK1転座例を認めなかったので、NTRK1転座をBa/F3細胞株に導入することができないので、NTRK1転座を有する細胞株であるKM-12,NTRK2が過剰発現しているとの報告例があるLCNECの細胞株であるH460,H810を用いて細胞実験する。 新規NTRK阻害剤であるAZD7451の細胞増殖抑制効果やウェスタンブロッティングによるNTRKのタンパク発現の確認やダウンストリームにあるpERK1/2,pAKTの発現とAZD7451投与による影響を検討する。
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Causes of Carryover |
当初予定したFISHの検討が行えなかったことから、物品費が予定より抑えられたことが主な理由と思われる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越された額は次年度の物品費、旅費などの不足分にあてる予定。
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