2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26861125
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
立松 勉 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (40721874)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | NTRK / LCNEC |
Outline of Annual Research Achievements |
Ⅰ.NTRK遺伝子発現細胞に対する新規NTRK阻害剤(AZD7451)の腫瘍増殖抑制効果の検証 細胞実験でAZD7451の細胞増殖抑制効果を検討した。NTRK1転座を持つKM-12細胞株とNTRK2発現を持つとの報告があるH460,H810細胞株にAZD7451を投与後、24時間後の細胞数を測定した。KM-12とH460 は、AZD7451が1nM以上の濃度で細胞増殖抑制効果を示したが、H810では細胞増殖は抑制されなかった。さらに、AZD7451治療後のpTRKA/Bとその下流シグナルのタンパク発現の評価した。AZD7451を投与された3細胞株についてウェスタンブロッティングでpTRKA/Bとその下流にあるpAkt, pERK1/2のタンパク発現が抑制されるかを検討した。KM-12ではpTRKA Tyr490とpAktが濃度依存性に抑制された。H460ではtotal TRKBの高発現を認め、NTRK2発現があると証明した。また、pTRKB Tyr706/707とpERKが濃度依存性に抑制された。H810はTRKA/Bの発現を認めなかった。 Ⅱ.考察と結論 今回、我々の研究では日本人におけるNTRK1転座やNTRK変異を認めなかった。これは、これらの遺伝子異常が欧米人に比べ、日本人で極めて稀である可能性が考えられた。しかしながら、我々は、NTRK阻害剤AZD7451がNTRK1転座あるいはNTRK2発現を持つ細胞のTRKのリン酸化とその下流シグナルを抑制し、細胞増殖を抑制することを示した。NTRK2は、神経内分泌腫瘍、特に肺神経内分泌大細胞癌(LCNEC)で高発現を認め、腫瘍の増殖との関連が報告されている。LCNECは一般的に予後不良で標準的な癌治療の他にオプションがない 。よってAZD7451が今後、LCNECの治療薬として有用となる可能性があると考えられた。
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