2015 Fiscal Year Annual Research Report
心房性ナトリウム利尿ペプチドの血管保護作用による革新的癌治療法の開発
Project/Area Number |
26861136
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
野尻 崇 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (50570553)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 癌転移 / 心房性ナトリウム利尿ペプチド / 血管 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】癌患者の死亡原因の多くは“転移”によるものであり、予後の改善には転移の抑制的制御が極めて重要である。しかし、現行の癌治療は、殺細胞効果を発揮する化学療法や、分子標的剤等の原発巣を標的としたものが中心であり、“転移”を標的とした治療法は少ない。心房性ナトリウム利尿ペプチド(Atrial natriuretic peptide; ANP)は、急性心不全治療薬として臨床応用されており、これまでに様々な心血管保護作用を有することが報告されている。我々は肺癌手術の際、術中より3日間ANPを持続投与することによって、術後心肺合併症を有意に軽減できること、さらには術後無再発生存率を有意に改善できることを報告した。 【目的】ANPの肺癌術後再発抑制効果について、詳細な作用機序を明らかにすること。 【方法及び結果】ANPの受容体であるGC-Aを持たない癌細胞株である、マウスメラノーマの肺転移モデルに対して、ANPは強い転移抑制効果を発揮したことから、ANPは直接癌細胞に効かなくとも、癌転移抑制作用を有することが示唆された。同様の実験を血管内皮特異的GC-Aトランスジェニックマウスで行うと、対照マウスと比較して肺転移が有意に減少し、血管内皮特異的GC-Aノックアウトマウスでは逆に肺転移が有意に増加したことから、ANPは血管内皮細胞に作用し、癌転移抑制効果を発揮することが明らかとなった。またヒト肺動脈血管内皮細胞を用いたin vitro実験結果より、ANPは炎症によって誘導される血管E-セレクチンの発現を抑制し、癌細胞が血管に接着するのを防ぐことによって、癌転移抑制作用を発揮することが明らかになった。 【考察とまとめ】以上の研究成果を基に、我々は、多施設共同無作為化比較試験(JANP study)を2015年9月から開始し、ANPの“抗転移作用”について前向きに検証を行っている。
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Remarks |
本研究成果について、上記のごとく、プレスリリースを行った。正確なタイトルは“心臓ホルモンによるがん転移抑制効果についての多施設臨床研究開始-国家戦略特区における保険外併用療養の特例を活用した全国初の案件-”である。
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Research Products
(13 results)