2015 Fiscal Year Annual Research Report
高密度頭蓋内電極による高速・高精度言語機能マッピング法の開発
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26861140
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
國井 尚人 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80713940)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 皮質皮質間誘発電位 / 高周波脳律動活動 / 皮質電気刺激マッピング / トラクトグラフィー / 脳機能マッピング |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度では、全期間を通じて計測した皮質-皮質間誘発電位(CCEP)の解析を行った。高密度電極の使用により得られた詳細なCCEPの空間分布に対して回帰分析および主成分分析を適用した。回帰分析によって、刺激部位近傍の電位は距離の二乗に比例して減衰するのに対し、離れた領域の電位はこの回帰曲線の外れ値をとることが示された。これにより刺激部位近傍の応答が主に容積伝導に由来することが示唆された。また、主成分分析により刺激部位近傍の応答と離れた部位の応答が異なる成分に由来することが示され、異なる角度から回帰分析の結果が支持された。CCEPの擬陽性応答の検出は、脳機能マッピングの精度の改善に寄与し得る。 最終年度に得られたCCEPに関する成果をこれまでの研究期間で得られた皮質電気刺激マッピング、高周波脳律動活動およびtractographyの局在と比較検討した。高密度電極を用いて言語課題による高周波脳律動活動を計測したところ、高い空間分解能で良好な信号対雑音比が得られた。言語に関連した高周波脳律動活動は、下前頭回を中心とする前方言語野に集中して観察されたが、後方言語野に対する検出感度は不良であった。Q-ball imagingによるtractographyは、下前頭回後方、角回、下側頭回を結ぶように描出され、CCEPおよび皮質電気刺激マッピングとの対応が示唆されたものの厳密な局在の一致は得られなかった。高周波脳律動活動により運動性言語野を検出し、これを刺激することによって得られるCCEPの分布域を調べることで短時間に感度の高いマッピングが行える可能性が示された。ただし、特異度は十分ではなく、課題を残した。また、本研究では、これまで明らかにされていない複数の脳生理的指標とtractographyの空間的関係を記述した点で臨床的意義が大きい。
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