2014 Fiscal Year Research-status Report
脊髄二次性損傷の炎症・免疫制御機構の解明と運動機能再建
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26861157
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
内田 晋 大分大学, 医学部, 助教 (60648848)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脊髄損傷 / 機能回復 |
Outline of Annual Research Achievements |
二次性神経損傷のキー・ノックアウトマウスを用い、神経回路損傷後の機能代償機構を研究する。以下の三項目を検証する:(1)ノックアウトマウスは進行性の壊死・空洞形成(progressive necrosis and cavitation)である二次損傷形成過程が縮小する仮説を炎症メカニズムの観点から形態学的、神経生理学的に検証する。(2)損傷領域および再生神経線維の脊髄損傷固有のパラメータを抽出する。(3) 機能回復した一次運動野遺伝子発現の変化・シグナル伝達阻害剤の影響を検証する。 本研究では慶應義塾大学微生物学免疫学教室、本学感染予防医学講座との共同研究により同一条件の特異的サイトカイン欠損マウス(IL-23KOマウスやIL-17KOマウス)を用いて脊髄損傷における進行性の壊死・空洞形成である二次損傷形成過程を形態学的、神経生理学的に詳細に検討する。 同時に野生型マウスでも他の動物と比較して高いとされる元来有する神経再生機能・可塑性の優劣をIL-23KO, IL-17KOマウスにおいて検討する。 これらを通じて脊髄損傷後の進行性壊死・空洞形成を回避する分子生物学的なキーを明確にると同時に、その後に必須である神経ネットワーク再建に向けた系統的戦略を構築する。 研究方法概要:IL-23KO, IL-17KOおよびWTとしてC57Bl/6Jマウスを用いる。前年度は損傷部位近傍の組織学的検索が主眼とした。損傷部位は一次性損傷と、その後に経時的に増大する二次性損傷ともに進行性壊死・空洞形成領域の定量評価する。損傷側近傍では再生神経線維が損傷部位を超えて末梢に向け再生するがglial scarがその伸長を阻止する事が推測される。IL-23KO, IL-17KOおよびWTとも全てのtime courseで定性的・定量的評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
動物にはIL-23KO, IL-17KOおよびWT:C57Bl/6Jマウスを使用。Chloral hydrate 400 mg/kg ip麻酔下にT5からT10まで正中切開、T8硬膜外アプローチにて、#5 Dumont forcepsを用い、1秒間脊髄を圧迫することでspinal cord crush injuryをもたらす。 動物は脊髄損傷後1,2,4,7,14,21,28,56,84日後にそれぞれのグループごとに4%パラフォルムアルデハイドで経心的に灌流固定し、組織学的評価( GFAP染色(reactive astrocyte), Mac-1染色(macrophages/ microglia) 及び Laminin, TGF-β1, NGF, BDNF, NT-3他の神経栄養因子の遺伝子mRNA発現)および行動学的・電気生理学的評価( Tarlov score + motor evoked potentials; MEPs )で評価する予定としていた。
脊髄損傷モデル(crush injury)後Day1,2,4で組織学的に壊死性変化に伴う変化を確認できつつある。ノックアウトマウスの供給(使用)に現時点で制限がある事が本研究の遂行の現在妨げとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き遅れている研究内容の大きな変更なく随時進めていく方針。
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Causes of Carryover |
物品費として購入したがわずかに20万円に到達しなかった。他の物品を購入したり旅費としては残額が少なすぎるため差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残額を併せて次年度の購入物品の検討を行う予定。
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