2014 Fiscal Year Research-status Report
頭蓋底脊索腫、軟骨肉腫の分子生物学的解析と新しい鑑別方法の構築
Project/Area Number |
26861166
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
北村 洋平 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (30445382)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脊索腫 / 軟骨肉腫 / 遺伝子異常 / IDH1/2 / brachyury |
Outline of Annual Research Achievements |
当施設で手術が施行された頭蓋底軟骨肉腫の標本について、比較ゲノムハイブリダイゼーション(comparative genomic hybridization; CGH)法を用いた全染色体解析とisocitrate dehydrogenase (IDH)1/2遺伝子の点突然変異のシーケンスを行った。また、脊索腫の診断に有用である考えられているbrachyuryタンパク質の発現を免疫染色によって調べた。CGHでは、8q21.1, 19, 2q22-q32, 5qcen-q14, 8q21-q22, and 15qcen-q14の増幅などの染色体異常が見つかった。これらの異常はこれまでに他の部位の軟骨肉腫において指摘されていたものと一致する傾向が認められた。また、IDH1/2の点突然変異も複数の症例において認められた。これらは、近年central typeの軟骨肉腫において頻繁に認められている異常であり、頭蓋底軟骨肉腫はこのtypeが多いということが示唆された。また、brachyuryタンパク質は比較の脊索腫では陽性であったものの、軟骨肉腫においては全例で陰性であった。これらの結果から、頭蓋底脊索腫と軟骨肉腫の鑑別において、IDH1/2の点突然変異とbrachyuryタンパク質の双方を調べることが非常に有用であることが示唆された。これらの知見は、すでに米国脳神経外科学会雑誌に投稿、受理されており、出版待ちの状態である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既に1報の論文を投稿し、受理されており、出版待ちの状態となっている。現在、脊索腫と軟骨肉腫の遺伝子解析を継続しており、さらなる報告を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに脊索腫と軟骨肉腫の遺伝子解析を進め、予後との比較を行うなどして、さらに論文発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
同等の品質で低価格の物品の購入を行うようにした結果である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後の実験において必要な薬品、プラスチック製の消耗品に充てる予定である。
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