2014 Fiscal Year Research-status Report
膠芽腫形成においてエピゲノム異常を誘導する新規分子の同定
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26861172
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大岡 史治 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 特別研究員(PD) (10725724)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脳腫瘍マウスモデルの樹立 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究者はこれまでに悪性脳腫瘍である神経膠芽腫を自然発生するマウスモデルの脳腫瘍細胞を解析し、腫瘍形成に重要な役割を果たす遺伝子増幅異常領域を同定している。本研究ではまず、腫瘍細胞を用いて遺伝子増幅異常領域のエピゲノム修飾酵素、転写因子に対する抗体を用いてウエスタンブロッティング法を行いこれらの分子が高発現していることを確認した。これまで本脳腫瘍発生マウスモデルの樹立に努めてきたが、当初の予定通りのマウスモデルを樹立することができた。本マウスモデルでは遺伝子異常を示す細胞がGFP陽性となることから、腫瘍形成前のマウスからGFP陽性細胞をFACSセルソーティング法にて回収する技術を確立した。これらの前腫瘍細胞をいくつかの時期のマウスから回収し解析することで遺伝子増幅異常の出現する時期を同定した。 機能解析としてはじめに遺伝子増幅異常領域のエピゲノム修飾酵素に対する抗体を用いた免疫沈降法と同領域の転写因子に対する抗体を用いたChIP法を行った。エピゲノム修飾酵素に対する抗体を用いて、腫瘍細胞でダイナビーズを用いた免疫沈降法を行い、エピゲノム修飾酵素と他ヒストン修飾酵素が共に回収できることをウエスタンブロッティング法にて確認した。腫瘍細胞をホルマリン固定にてクロスリンクした後に、超音波断片機にて断片化したクロマチンを回収して転写因子に対する抗体によるChIP法を行った。このChIP法を用いた解析により転写因子の結合部位を同定できることが期待でき、現在解析をすすめているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では脳腫瘍マウスモデルの樹立に時間を要したことと、当初予定していた実験方法に問題があることが判明したために別の方法を確立することに時間を要した。当初個体より前腫瘍細胞を回収するためにimmunopanning法を用いる予定であったが、実際回収した細胞には偽陽性細胞が多く含まれていたためFACSセルソーティング法を確立し改善に努めた。エピゲノム修飾酵素と転写因子に対するノックアウト実験を行うため、高効率遺伝子導入用レトロウイルスベクターであるpDON-AI-2 DNAを使用して、それぞれのshRNAを発現するベクターを作成する予定であったが、上記の理由により次年度に行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度以降はまず両因子のshRNA発現ベクターを作成し、両因子のノックアウト細胞株を樹立して機能解析を行う。これまでに腫瘍細胞でヒストン修飾異常を同定している遺伝子群を対象として、ノックダウン細胞のヒストンH3リシン(K)27(H3K27)のメチル化状態を解析する。抗H3K27トリメチル化(H3K27me3)抗体を用いたChIP法と定量PCR法にてヒストン修飾変化を解析する。いずれのノックダウン細胞においても細胞増殖能の低下等、腫瘍抑制効果を解析することを予定している。
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Causes of Carryover |
本年度は当初より予定している免疫沈降法やクロマチン免疫沈降法の条件検討を主に行っていたため、詳細な解析やその結果から必要となる機能解析実験を次年度に予定したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後網羅的な解析や機能解析を多く行っていく予定であり、そのために本費用を使用予定である。また本期間中にまとまった結果が得られるようであれば論文投稿準備の費用としても使用する予定である。
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