2014 Fiscal Year Research-status Report
大動物における滑膜幹細胞集合体移植による関節軟骨再生
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26861173
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中村 智祐 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (90725201)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 滑膜幹細胞 / 集合体 / 関節軟骨再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
滑膜間葉系幹細胞(滑膜幹細胞)は高い軟骨分化能により軟骨再生の有用な細胞源として期待される。限られた細胞数で効率よく移植するためには、三次元培養した集合体を用いることが有用となりうる。今回マイクロミニピッグを用いて、自家滑膜幹細胞集合体移植による効果を検討した。 動物実験委員会の承認後、マイクロミニピッグの両膝の滑膜を採取し、酵素処理後に得られる有核細胞を培養した。25万個の滑膜幹細胞を35μlの培養液に懸濁し、hanging drop法で、3日間培養し、集合体を形成させた。両膝の膝蓋大腿関節の大腿骨側と大腿骨内顆に、直径6㎜・深さ1.5㎜の骨軟骨欠損を作製した。片側の膝に、それぞれ16個の自家滑膜幹細胞集合体を移植した。対側の膝は細胞移植をしない対照群とした。移植後4週・12週で、再生関節軟骨組織を肉眼(ICRSスコア)、組織(Modified Wakitani スコア)、MRI(T1rho mapping)で評価した。さらに移植細胞の動態を、超常磁性酸化鉄粒子でラベルした滑膜幹細胞を使用してMRIで評価した。 集合体は直径1mm程度で、攝子で容易に骨軟骨欠損部に移植することが可能であった。移植後12週の大腿骨内顆において、肉眼、組織スコアともに、集合体移植した群(肉眼スコア6.5±0.3、組織スコア11.0±0.6)が、移植しない対照群(4.8±0.3、6.0±1.8)よりも、良好な軟骨の再生が得られ(p<0.05、n=4)、T1rho mappingでは、正常軟骨の値に近かった。またMRIで術後1週時に、移植細胞が骨軟骨欠損部に残存することを確認した。 滑膜幹細胞集合体は、移植操作が容易で、効率的に軟骨欠損部に接着させることが可能で対照群より良好な軟骨再生が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
関節軟骨欠損モデルを作成し、移植後12週で肉眼・組織スコア及びMRIで評価した結果、滑膜幹細胞集合体投与側でより良好な軟骨再生が得られていることが示せた。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロミニピッグの頭数を増やし、統計学的処理を行い、学会発表、論文作成を行う。
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Causes of Carryover |
次年度の研究成果報告に向けて今年度は繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マイクロミニピッグの頭数を増やして、統計学的処理を行うほか、移植した細胞の追跡実験を行う予定。
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