2014 Fiscal Year Research-status Report
脊椎腫瘍に対する免疫療法を併用した根治的手術(次世代TES)の骨癒合に関する研究
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26861175
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
吉岡 克人 金沢大学, 医薬保健科学総合研究科, 特任助教 (30525043)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 液体窒素処理骨 / 骨癒合 |
Outline of Annual Research Achievements |
ビーグル犬13頭に前方アプローチにより1椎骨(第5腰椎)の全摘出術を施行した。①液体窒素処理骨を用いて再建したF群、②新鮮自家骨を用いて再建するN群の、それぞれの群で8週と16週で屠殺を行い、ケージ内の骨形成過程を組織学的に検討した。完全な骨癒合が得られるかを確認するため、F群では1頭のみ1年で屠殺を行った。病理組織学検討として、骨細胞に核を有し、類骨を形成し、骨芽細胞が類骨面に集簇している範囲を「反応領域」、反応領域の条件を満たし、さらに骨組織に層板構造を認める範囲を「成熟骨領域」と定義し、骨形成量の評価のため、ケージ内全体で反応領域と成熟骨領域の占める割合を2群間で比較した。また、骨形成過程の評価のため、ケージ内を背側と腹側、ケージ端とケージ中央に分割し、エリアごとにそれぞれの領域が占める割合を2群間で比較した。 骨形成量の検討では、反応領域ではN群でのみ有意差を持って上昇していたが、成熟骨領域では両群ともに有意に上昇していた。また、同時期の検討では両群で有意差は認めず、両群ともに良好な骨形成が行われていた。骨形成過程の検討では、反応領域に関しては8wではN群、F群ともに背側、ケージ端で有意に割合が多く、両群ともに背側、ケージ端から骨形成が開始されていた。16wではF群においては背側、ケージ端で有意に割合が多いのに対して、N群においてはケージ端と中央で有意差を認めず、16wの時点でケージ中央まで骨形成反応が及んでいた。成熟骨領域に関しても同等の結果であった。また、F群の1年で屠殺を行った標本では、ケージ内全体でリモデリングが行われており、完全に骨癒合していた。 以上より新鮮自家骨と比べるとやや骨形成は遅れるものの、液体窒素処理骨を用いても、ケージ内の骨癒合は得られることが組織学的に判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では液体窒素処理骨が骨癒合するかを検討している。現時点では予定している半数の検体が得られており、組織学的に骨癒合することが証明された。当初は手術後に感染を起こし、良好な標本が得られなかったが、毎週木曜日に行われている本学整形外科学教室での研究に関する検討会により、感染対策を行った後からは、感染例が減少し、良好な検体が得られるようになった。 また、反応領域、成熟骨領域と定義し、それぞれの領域の面積で比較することで、組織学的な骨形成を定量化することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は各群3頭ずつの結果であるため、各群の頭数を増やし、組織学検討で得られたデータの信頼性を上げていく予定である。液体窒素処理骨においても、新鮮自家骨と同様に骨癒合することが組織学的に確認されたが、臨床応用のために、骨強度の評価が求められる。今後は各群において、力学的強度の検討のためCage頭尾側の上下2椎体ずつを含めて摘出し、中心より2cm前方(屈曲の評価)、中心、中心より2cm後方(伸展の評価)、中心の2cm右側と左側の5点において圧縮力を加え、再建部位にかかる剛性を評価する。 手術テクニックは会得しており、今後も順調に実験は進行できると考えている。
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Causes of Carryover |
骨のリモデリングの状態を観察するため、実験後に組織的評価をするまで8週、16週、最大で1年待つ必要があった。組織的評価やその問題点を解決しながら実験を進めており、この1年はほぼ計画通りであったと考えている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在は各群3頭ずつの結果であるため、各群の頭数を増やし、組織学検討で得られたデータの信頼性を上げていく予定である。液体窒素処理骨においても、新鮮自家骨と同様に骨癒合することが組織学的に確認されたが、臨床応用のために、骨強度の評価が求められる。今後は各群において、力学的強度の検討のためCage頭尾側の上下2椎体ずつを含めて摘出し、中心より2cm前方(屈曲の評価)、中心、中心より2cm後方(伸展の評価)、中心の2cm右側と左側の5点において圧縮力を加え、再建部位にかかる剛性を評価する。
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Research Products
(2 results)