2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26861177
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
五嶋 謙一 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (60706886)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脂肪由来幹細胞構造体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はウサギの半月板損傷モデルに脂肪由来幹細胞(ADSCs)を用いて欠損した半月板の再生を促進することを目的としている。平成26年度(初年度)は、ウサギの左後肢膝内側半月板に皮膚生検パンチを用いて径1.5mmの半月板欠損を作成したコントロール群を40羽作製し、一定期間飼育した後に半月板を採取して肉眼的観察を行い、組織学的評価のために半月板欠損部を中心としたスライスを持った標本を作成した。 ADSCsの細胞構造体を半月板欠損部に充填したADSCs群に移植するため、ホストとなるウサギからの脂肪組織の抽出、3次元培養によるスフェロイド(細胞凝集塊)の作製、スフェロイドをさらに凝集させて半月板欠損部と同じ形状にするための培養を行い、ADSCsの細胞構造体の作製に成功した。 コントロール群は半月板欠損作製後、2、4、8、12週でそれぞれ10羽ずつ作成した。コントロール群は欠損部には何も操作を加えていないため、半月板損傷後の無治療の経過を想定した膝関節モデルである。すでに全例で飼育期間は終了しており、半月板は採取し標本作成済みである。ウサギの半月板は欠損部が大きくなければ無治療であっても、一定の割合で半月板修復が生じるため、コントロール群でも欠損作成後時間が経ってくると欠損部は埋まってくる。そのため、コントロール群は半月板欠損部にADSCsを充填したADSCs群の比較対象として、本研究の基本モデルとしての意義は大きい。 また、ADSCsの細胞構造体は細胞からADSCsを抽出した後に数回の手技および培養過程が必要であり感染等の危険性がある。また、半月板欠損部に充填する際に構造体が崩れないように維持できる適度な硬さが必要だが、それには培養液の量や投与する細胞数などに細かい調整が必要である。今回は理想の大きさ、硬度に調整した細胞構造体を作製し、手技を確立することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では初年度は、脂肪組織の抽出・培養を経て、細胞凝集塊から細胞構造体までのプロセスを習得し、手技を確立させる。また、半月板に欠損を作成するのみのコントロール群を作製する予定であった。実際には初年度中に翌年度の目標であった細胞構造体を半月板欠損部に充填したADSCs群の作製を数例することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度(平成27年度)はADSCs群の作製をすすめ、さらにコントロール群、ADSCs群ともに随時採取・作成した半月板の評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
実験に時間を要したため、学会参加が予定よりも少なくなった。またコントロール群の作製がスムーズに可能であったため、予定よりもウサギが少なく作製可能であったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ADSCs群のウサギの購入や試薬等の購入で使用する予定である。また、学会参加での情報収集も積極的に行う予定である。
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