2014 Fiscal Year Research-status Report
骨芽細胞および骨肉腫における、非古典経路のWnt5aの役割の解明
Project/Area Number |
26861181
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
岡本 正則 信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (50596781)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Wntシグナル / Wnt5a / Lrp5/6 / 骨代謝 / 骨肉腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は研究計画3年間の初年度として、まずマウス頭蓋冠由来の骨芽細胞系細胞を用いたex vivo実験を行った。予備実験の結果からWnt5aがLrp5/6の発現を制御し、Wnt古典経路を調節する可能性が示唆されていたため、本年度はまず①Wnt5aによるLrp5/6の発現制御機構の解析および、②Wnt5aの古典経路活性化作用の解析を計画していた。 ①に関しては、野生型マウス由来の骨芽細胞にウイルスを用いてWnt5aをノックダウンすることで、Lrp5/6の発現が低下することを確認した。そして、Wnt5a欠損マウス由来の骨芽細胞ではLrp5/6の発現が抑制されており、リコンビナントWnt5aで刺激することで、Lrp5/6の発現が回復した。Lrp5/6の発現はリアルタイムPCRを用いてメッセンジャーRNAレベルで、ウェスタンブロットを用いてタンパクレベルで確認した。 ②に関しては、Wnt5a欠損マウス由来の骨芽細胞において、石灰化能およびRunx2やSp7などの骨芽細胞分化に必須の転写因子の発現が低下すると同時に、Wnt古典経路の標的遺伝子であるAxin2の発現、古典経路活性を示すTcf/Lef活性、および細胞内βカテニンレベルが低下していることを確認した。そしてWnt5a欠損マウス由来の骨芽細胞にウイルスを用いてLrp5を過剰発現させることにより、低下した石灰化能、骨芽細胞分化能を促進することを確認した。 当初予定していた①②に関する解析が計画以上に進展していたため、平成27年度に予定していた③Wnt5aがLrp5/6の発現を制御するメカニズムについての解析を行った。 ③に関してはWnt5a欠損マウス由来の骨芽細胞ではSp7の発現が低下しており、またSp7の過剰発現でLrp5の発現を回復させることから、Wnt5aはSp7を介してLrp5の発現を誘導することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要でも述べたように、当初平成26年度に予定していた研究計画は順調に進展し、平成27年度に予定した研究計画の一部まで達成することができた。 また、これまでの途中経過を国外学会(ANZBMS 2014)で口演発表する機会にも恵まれた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に予定していた研究計画の一部を前倒しで実施してきたため、引き続き本年度に予定していた研究計画を遂行する。 これまでにマウス頭蓋冠由来の骨芽細胞でWnt5aによるLrp5/6の発現や古典経路への作用を確認してきた。骨肉腫においてもWnt5aが同じ作用を持つかどうか、ヒト骨肉腫細胞株であるHOSなどを用いて解析予定である。 また、平成28年度には生検・手術検体を用いて、実際の骨肉腫症例におけるWnt5aやLrp5/6の発現量を比較し、それらの関連性を解析する。そして、それらの発現と、臨床成績との関連性を解析する予定である。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画よりも順調に実験が進行したため、海外学会で途中経過を発表する機会に恵まれた。そのため、次年度の予算を前倒し請求した。その後、次年度に予定していた研究を継続して行っているが、消耗品の支出がその時点での予想よりも少額で済んだため、次年度に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は平成27年度請求額と合わせて、平成27年度に予定していた研究内容を継続して遂行するために使用する。
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[Presentation] Noncanonical Wnt5a enhances Wnt/b-catenin signaling through the up-regulation of Lrp5/6 during osteoblastogenesis2014
Author(s)
Masanori Okamoto, Nobuyuki Udagawa, Teruhito Yamashita, Shunsuke Uehara, Kaoru Aoki, Hisao Haniu, Hiroyuki Kato, Naoto Saito, Naoyuki Takahashi, Yasuhiro Kobayashi
Organizer
ANZBMS Annual Scientific Meeting
Place of Presentation
MILLENNIUM HOTEL, QUEENSTOWN 9300, NEW ZEALAND
Year and Date
2014-09-07 – 2014-09-10