2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26861190
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岩倉 崇 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (60437473)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 炭酸ガス / 骨折治癒促進 / 大腿骨閉鎖性骨折 / 軟骨内骨化 / 骨癒合 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨折に対する炭酸ガス経皮吸収療法の最適な治療期間を検討することを目的とした。ラット大腿骨の閉鎖性骨折モデルを作成し、骨折肢に対して炭酸ガス経皮吸収を骨折後1週間、2週間、3週間連続で実施した群(炭酸ガス1週群、2週群、3週群)と、sham treatmentを行った群(コントロール群)の4群間で骨折治癒を比較検討した。 その結果、骨折後3週における骨癒合率は、コントロール群30%、炭酸ガス1週群50%、炭酸ガス2週群60%、炭酸ガス3週群80%と、炭酸ガス3週群ではコントロール群と比較して骨癒合率が有意に高かった。力学試験(3点曲げ試験)では、最大荷重・剛性・破断エネルギーとも、炭酸ガス3週群ではコントロール群と比較して有意に高い値を示していた。また、骨折後3週の組織染色では、コントロール群、炭酸ガス1週群、2週群では骨折部に厚い軟骨の残存を認めたのに対し、炭酸ガス3週群ではコントロール群と比較して軟骨領域は有意に小さく、ほぼ骨性架橋が完成していた。以上をまとめると、炭酸ガスを3週間連続で経皮吸収させた群では、骨癒合が有意に促進されていた。なお、本研究において明らかな有害事象は認められなかった。 炭酸ガス経皮吸収の骨折治癒促進作用は、特に軟骨内骨化促進を介して作用していると考えられた。また、骨折治癒促進を期待した炭酸ガス経皮吸収は、骨折初期から骨性架橋形成期まで継続して実施することが最も効果的である可能性が示唆された。これらのことは、実際の臨床応用において重要な知見であると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究申請者ならびに研究申請者の所属する研究チームは、ラット大腿骨骨折モデル作成やその他の実験手技において豊富な経験を有しており、おおむね順調に実験が進んでいると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究結果より、骨折に対する炭酸ガス経皮吸収療法は、骨折初期から骨性架橋形成期まで継続して実施することが最も効果的である可能性が示唆された。炭酸ガス経皮吸収の骨折治癒促進作用は、特に軟骨内骨化促進を介して作用していると考えられたものの、その詳細なメカニズムは不明であり、さらなる検討を行う方針である。 また、平成26年度の研究結果より、炭酸ガスの適切な治療期間に関しては、ある一定の見解が得られたものの、炭酸ガス経皮吸収療法の適切な条件(たとえば週に何回の治療が望ましいかなど)に関してはいまだ不明であり、今後検討を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
研究を進めていく上で、必要に応じて研究費を執行したため、当初の見込み額と執行額は異なった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画と変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
|
Research Products
(3 results)