2014 Fiscal Year Research-status Report
肩腱板由来細胞シートを用いた新しい腱板修復術の開発
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26861191
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
美舩 泰 神戸大学, 医学部附属病院, 特定助教 (80608464)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 腱板断裂 / 細胞シート |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、腱板由来細胞を用いて細胞シートの作成を行った。患者同意の元、腱板修復手術時にトリミング操作により切除・破棄される腱板の断端組織を採取・保管し、collagenase処理を行い細胞分離を行った。12wellの温度応答性細胞培養皿(UpCell)を用いて、ヒト腱板由来幹細胞による細胞シート作成を行った。 次に、ラット腱板修復モデルを用いたin vivo実験を行った。動物モデルには、我々の施設でこれまでにも使用してきた棘下筋断裂後修復モデルを使用した。腱板は上腕骨頭の骨孔を作成して縫合し、修復部に腱板由来細胞シートを縫合・固定した。ヌードラット(10週齢)を12匹用意し、右肩を細胞シート移植(Sheet)群、左肩を非治療群(Control)群として使用した。ソムノペンチルの腹腔内投与による全身麻酔下に、棘下筋断裂を作成し、上腕骨頭に骨孔を作成し、縫合・修復した。同時に右肩(Sheet群)では細胞シートを修復部を覆うように縫合し、左肩(Control群)では何も移植せずにそのままとした。術後2W、4W、8W、12Wに各期各群12匹ずつソムノペンチル大量投与により安楽死させ、各評価を行っている。 これまでに、組織学的評価(H-E染色による組織構築評価、免疫染色による腱再生評価)を行ったところ、術後4週でSheet群ではToluidine blue染色において腱修復部に多くの軟骨細胞を認め、免疫染色でも有意に多くのType II collagenの発現を認めた。Isolectin B4を用いた免疫染色でもSheet群ではControl群に比べて腱板修復部周囲組織において有意に多くの発現を認め、ヒト特異的CD31の発現も確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでにも扱ってきた動物モデルであり、手術手技にも慣れており、おおむね予定通りに進展している。 本年度の動物モデルは新しいモデルを扱うので、今の段階から手技の再現性の確立を目指して取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
先の実験に関して、PCRや力学試験などのさらなる評価をすすめる。 また、本年度は次の実験モデルにも取り組む。 細胞シート移植のみでは、術後の初期固定力の増強は見込めないので、臨床応用を考慮した際には何らかの工夫が必要になる。近年、鏡視下手術の進歩により、鏡視下での筋膜パッチ移植が行われるようになっている。そこで、筋膜パッチの間に細胞シートを挟み込んで移植することで、初期固定力の物理的増強と、修復部の生物学的な治癒促進ならびにパッチの早期生着の可能性を検討する。 同様にラット腱板修復モデルを使用し、ヌードラット(10週齢)を用意し、筋膜パッチは自己大腿筋膜を両側から採取する。右肩には筋膜パッチ+細胞シートを移植するパッチ+シート(PS)群、左肩を筋膜パッチのみを移植するパッチ(P)群として使用する。術後の評価方法は先の実験系と同様とし、術後2W、4W、8W、12Wに①引っ張り試験による力学的評価(最大破断強度(N)、弾性率(N/mm)、n=4)、②組織学的評価(H-E染色による組織構築評価、免疫染色による腱再生評価、n=4)、③生物学的評価(real-time PCRによるコラーゲン定量、n=4)を行い、それらの結果を統計学的に評価し、各群間での比較を行う。
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Causes of Carryover |
昨年度は動物実験とそのサンプル作成がメインであったので、データ解析用のPCなどの購入を遅らせた。また実験結果もまだ出そろっておらず、学会発表なども行っていない。これらの理由により、物品費や旅費の使用額が少なくなっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は実験データも出そろってきているので、物品費や旅費を使用することになると考えている。また論文をsubmitした後のreviseに対する実験もあらかじめ計画的に行える範囲で準備をしていく予定である。
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