2015 Fiscal Year Research-status Report
炭酸ガス経皮吸収がラットの神経損傷修復に及ぼす効果について
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26861194
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西本 華子 神戸大学, 医学部附属病院, その他 (30707154)
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Project Period (FY) |
2015-03-01 – 2017-03-31
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Keywords | 神経損傷 / 炭酸ガス / 経皮投与 |
Outline of Annual Research Achievements |
末梢神経再生研究においては、幹細胞、増殖因子、scaffoldを組み合わせた様々な試みがなされているが、再生神経の標的臓器である筋肉の萎縮の予防については報告が少ない。炭酸ガス経皮吸収は、人工ボーア効果により赤血球の酸素解離を促し、すでに筋肉や骨、皮膚、血管などの組織修復へ有効な効果が期待されている。我々は炭酸ガス経皮吸収装置が局所血流を増加させ、人体におけるボーア効果、筋持久力の向上につながる事を証明してきた。そこで、本研究では炭酸ガス経皮吸収が末梢神経損傷での神経・筋肉機能回復過程において及ぼす効果について調べた。 本年度は、ラットは、2群(炭酸ガス投与群と炭酸ガス非投与群)にわけた。全身麻酔下にラット坐骨神経に圧挫損傷を加え、2,4週の評価時期に行動的評価を行った後に、坐骨神経と坐骨神経支配筋の評価を行った。行動学的評価は、行動モニタリングシステム(footprint)と筋電図を使用し運動機能を評価した。組織・免疫学的評価では、免疫蛍光染色により、坐骨神経の神経線維、シュワン細胞の評価をし、筋肉については前脛骨筋・ヒラメ筋に対してH-E染色を行い、萎縮の程度および筋線維の断面積を解析した。また生化学・分子生物学的評価は、神経マーカーとして、neurotrophin関連遺伝子を評価した。また筋の評価としては、Atrojin、MURF-1をはじめとする筋の萎縮に関連する因子をReal-time PCR法にて評価した。 本研究においては、筋量・筋力が低下する最重症の疾患モデルの1つである神経軸索損傷動物モデルを使用して、炭酸ガス経皮吸収による筋萎縮防止効果、また損傷肢の機能回復効果について行動学的評価を用いて検討を行った。また、炭酸ガス経皮吸収に伴う局所血流の増加が、末梢神経再生も促進させる可能性があるとの仮説に基づき、軸索損傷の回復過程、神経成長因子の発現について組織学的・分子生物学的に検証を今後更におこなう予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、坐骨神経と坐骨神経支配筋の評価を行うが、評価は、行動学的評価、組織学的・免疫学的評価、生化学・分子生物学的評価の3つに分けて行っている。 おおむね、当初の予定通り同上の3つの評価について分析しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
炭酸ガス経皮吸収に伴う局所血流の増加が、神経原性の筋萎縮軽減に効果があるであろうことはわかってきた。今後は末梢神経再生も促進させる可能性があるとの仮説に基づき、軸索損傷の回復過程、神経成長因子の発現について組織学的・分子生物学的に検証を更におこなう予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度では、データの詳細な分析には至らず、次年度に分析に使用するソフト、パソコンなどを購入予定のため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
パソコン、統計、画像処理のためのソフトなど購入予定である。
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Research Products
(5 results)