2014 Fiscal Year Research-status Report
進化分子工学と先端接着技術による脆弱性骨折の予防・治療
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26861195
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
杉本 佳久 岡山大学, 大学病院, 助教 (80423309)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生体材料 / 結合性改変成長因子 / コラーゲン結合性ドメイン / BMP |
Outline of Annual Research Achievements |
骨折などの整形疾患において,BMP等の成長因子は治癒に非常に効果的に働く。しかし,これらの機能を十分に発揮させるには,まず患部にそれらの薬剤を留め,必要に応じて効果的に徐放させる技術を開発しなければならない。本研究では,理化学研究所と岡山大学で共同開発した3つのシーズ,すなわち①進化分子工学の手法を用いて創製する結合性改変成長因子,②リン酸化プルラン,③可視光硬化型ゼラチンなどの先端接着材料を効果的に用いることにより,骨粗鬆症患者の骨折予防や骨折治療に有効な新しい骨組織再生・再建技術を開発する。 生体内でコラーゲンとファイブロネクチンは結合しているが,この結合に実際に関わっている配列がCBDであり,6個のモジュルで構成される。CBD-BMPは両者を融合させたタンパク質で,コラーゲン結合能を有したまったく新しい薬剤である。 本年度はこのCBD-BMP4を用いて結合性改変BMPの生体内定着安定性,基材定着安定性の評価を行った。in vitroではCBD-BMP4は7日間以上コラーゲンゲル内に留まることができたが、BMP4単独では3時間以内にゲル外に放出された。in vivoではCBD-BMP4は2週間以上生体内の投与部位に留まることができたが、BMP4単独では3日以内に生体内より消失した。以上よりCBD-BMP4はBMP4単独よりもin vitroおよびin vivoともに明らかな定着安定性を示した。 次にマウスによる骨再生能評価を行った。マイクロCT,Fluorescence images,組織学的検討でCBD-BMP4はBMP4単独よりも良好な骨再生能を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウスでのin vivoの実験に時間を要し,ブタやウサギなどさらに大きな動物での実験ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の実験を引き続き行い、ブタや骨粗鬆症モデルウサギなど,より大きな動物を用いて骨再生能を評価する。 また,新規生体接着材料との併用による骨再生能向上について,①光硬化型ゼラチンや②リン酸化プルランの調整、最適化を行う。 新規生体接着材料併用による薬剤徐放能の評価として,ELISA法にて,光反応性ゼラチンやリン酸化プルランから徐放したCBD-BMPを定量評価する。 さらに新規生体接着材料併用によるCBD-BMPの効果を動物実験による機能評価で行う。
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Causes of Carryover |
ブタやウサギなどマウスよりも大型の動物を用いた実験ができず,予定よりも支出が少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度においてより大型の動物を用いた実験の際の動物購入費などに使用予定である。
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