2014 Fiscal Year Research-status Report
銀含有ハイドロキシアパタイトコーティングに関する研究
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26861199
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
染矢 晋佑 佐賀大学, 医学部, 助教 (70720928)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 銀 / ハイドロキシアパタイト / 感染 / 人工関節 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.銀含有ハイドロキシアパタイト(以下銀HA)の銀含有濃度と抗菌性の関係:3wt%銀HAはin vitroにおいて、大腸菌、表皮ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌に対し優れた抗菌性を示していた。さらにin vivoでの有効性を示すため、ラット脛骨を用いた骨髄炎モデルを作成し、3wt%銀HAはHAと比較し有意に菌の増殖を抑える事ができた。また採取した脛骨のX線検査、病理検査でも優れた抗菌性を示した。 2.銀HAの銀含有濃度と骨伝導能の関係:HA、3wt%銀HA、50wt%銀HAがコーティングされたdisc上で骨芽細胞を培養したところ、50wt%銀HAでは高度の細胞障害が認められた。一方3wt%銀HAにおける細胞障害はHAと有意差は見られなかった。In vivoでは、ラット大腿骨へ挿入したインプラントの引き抜き試験を行い、50wt%銀HAでは初期固定力が低下していたが、3wt%銀HAの固定力はHAと有意差はなかった。採取した大腿骨を用いた病理検査でも3wt%銀HAはHAと同等の骨形成を認めた。 3.銀HAのラット臓器内での銀蓄積性、臓器毒性:HA、2%銀HA、50%銀HAをコーティングした試験片をラット両脛骨骨髄内へ挿入し、急性期・亜急性期で血液検査及び各臓器の銀濃度を測定した。各臓器の平均銀濃度は、4-8週ではいずれも50%銀HAが他の2群に比べて有意に高かったが、12週では全臓器で3群間に有意差を認めなかった。全期間、全臓器でHAと2%銀HA間に有意差を認めなかった。また全群で銀による明らかな生化学データの異常は認めず、組織学的異常所見も認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画へ挙げた課題のうち大部分で良好な結果が得られている。その結果を国際学会で発表し、整形外科分野で著名な雑誌へ採用されており、十分な評価を受けているため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、in vitro、in vivoで良好な結果を得られたため、銀HAをコーティングしたインプラントを用いた臨床治験を開始した(UMIN ID : UMIN000012433)。現在結果を注意深く観察中である。またそれと並行して、近年感染分野で注目されているバイオフィルムに対し、銀HAが形成阻害効果を示す事ができるかについてin vitro、in vivoでの実験を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
前年度の使用については主に研究の際の物品の納入に使用した。学会発表等での旅費などがまだ使用していない状況である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後研究のデータ集積などの処理にパソコンの購入、また学会発表等での旅費等による支出を計画している。
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