2015 Fiscal Year Research-status Report
広範囲骨欠損に対する骨形成細胞シートと血管束移植を用いた新規骨再建法確立の試み
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26861205
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
清水 隆昌 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (70464667)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 骨再生医療 / 血管新生 / 細胞シート / 微小血管外科 / 人工骨 / 骨欠損 / 骨髄間質細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、人口骨を用いた広範囲骨欠損の再建において、再生医療の技術を用いて作成した『骨形成細胞シート』と、微小血管外科技術により作成した『血管束』を人工骨内に導入することで、移植後早期に人工骨内部の『3次元血管網構築』および『骨組織再生』を行い、広範囲骨欠損や骨壊死治療の新たな治療法を確立するための基礎的実験を行う。 広範囲骨欠損部の再建において、人工骨を用いた再建法では、人工骨内部に十分な骨組織が再生できないことが問題となる。近年この問題に対して、人工骨の内部構造の改良や、骨形成因子の導入、骨髄由来間葉系幹細胞の付与など人工骨の骨形成能を高める試みがなされている。しかし組織再生においては、細胞のみならず、細胞への『血液供給』が重要であり、生体内で早期の骨癒合を促進させるためには微小血管を人工骨内に誘導し『3次元血管網構築』し、微小血管を介して、骨癒合を促進させることが必要となる。 本研究は、骨髄間質細胞から骨分化誘導を行い作成した『骨形成細胞シート』は、分化した骨細胞の他にも、様々な細胞を含むheterogeneousな細胞の集団である。『骨形成細胞シート』の細胞組成を明らかにし、骨新生、血管新生においてどのような役割を有しているのかを明らかにすために、ラットからヒト細胞に細胞を変えて実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年までのラットで行った実験をもとにヒト細胞で実験を行っている。 ヒト細胞はLONZA社から購入し、これまで4検体を用いて骨分化誘導を行ったが、ラットのような骨形成能を獲得することができていない。分化にはデキサメサゾンが最も重要であると言われているが、2~4週間の分化誘導を行っても、良好な骨新生は得られていない。継代数が問題であると考え、継代数を少なくした状態で骨分化誘導を行っているが、分化させていない細胞と比較しても、ほとんど変わらない状態であった。LONZA社の骨分化誘導培地を購入して行っても、結果は同様であり、外観上はシートになるが骨新生能はきわめて低く、ヌードラットに実際移植してみても、移植後に目立った骨新生は得られない状況が続いており、実験の進行が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
骨形成細胞シートをLONZA社の骨髄間葉系幹細胞から作成するための条件をこれから設定しなおすには非常に時間と費用を要するため、ラット同様、ヒト骨髄間質細胞を採取し、これをもとに骨形成細胞シートの作成が可能であるかを検討し、実験を進めたいと考えている。実験レベルであるので、ストックしてあるヒト骨髄間質細胞を使用するか、凍結して細胞の状態が悪いようなら、当大学の倫理委員会の承認の下、ヒト骨髄間質細胞を採取し、実験を進行させる予定である。
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