2014 Fiscal Year Research-status Report
変形性膝関節症に関連する滑膜の力学的負荷応答機序におけるパールカンの機能
Project/Area Number |
26861213
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
二見 一平 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (30722516)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 変形性膝関節症 / 滑膜 / 軟骨分化 / パールカン / 骨棘 / 力学負荷応答 / 間葉系細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
変形性膝関節症の骨棘形成に、関節軟骨辺縁近傍の滑膜に発現するヘパラン硫酸プロテオグリカンであるパールカンが必須であること、滑膜細胞が力学的負荷に応答することを我々はこれまでに示してきた。本研究ではパールカンが滑膜の力学負荷応答機序にどのように関与するか否かをin vitroにて検証することが目的である。 平成26年は我々が確立したマウス滑膜細胞培養条件を用い、マウス滑膜間葉系細胞(mSMCs)の力学的負荷に対する応答能および増殖能におけるパールカンの機能を解析した。パールカンの欠損は胎生致死のため、関節内では軟骨のみにパールカンが発現し滑膜には発現しないマウス(Hspg2-/-Tg)と同腹の対照マウス(WT)より滑膜を採取し実験に使用した。 パールカン欠損滑膜と対照滑膜に程度を変えてストレッチ刺激をかけ至適強度を決定した。至適強度は5%, 0.5Hzであり、その強度での2群間の増殖能に差はなかった。 今後は、ストレッチ刺激を与えたことによる軟骨分化能、骨分化能におけるパールカンの役割について実験を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
26年度に予定していた細胞へのストレッチ刺激の条件設定の実験進行に遅れが生じたため。われわれが確立したマウスの膝関節から滑膜を採取しそれを培養する方法を、Hspg2-/-Tgマウスにて応用した。まず、Hspg2-/-Tgマウスと同腹の対照マウス(WT)の膝関節から滑膜を採取しこれを培養できるか否かを検討した。そして、以前報告した条件にて、Hspg2-/-Tgマウスからも初代滑膜細胞(mSMCs)が単離及び培養が可能であることを示した。 次に、この細胞を用いて、パールカンが欠損したmSMCsとパールカンを発現する対照群のmSMCsに対して、in vitroにて伸展刺激をかけた。我々が従来行っていた条件は①10%, 0.1Hzであったため、この条件にてまず伸展刺激をかけた。さらに、伸展条件および波長などの各種ストレス条件を変更した際の反応性についても検討した。具体的には、②10%, 0.5Hz、③15%, 0.5Hz、④20%, 0.5Hzの4パターンで検討した。しかし、①から④の中では、細胞がはがれるタイミングが早いなど適当な条件ではなかったため、やや弱い刺激である⑤5%, 0.5Hzをさらに検討した。そして、この⑤の条件が最も適していると判明し、これを至適条件とした。この⑤の条件において、mSMCsの増殖能は2群間に差は認められなかった。つまり、滑膜に発現するパールカンは、mSMCsの伸展刺激による増殖能には必須の分子ではないことが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度の結果をもとに,mSMCsのメカニカルストレスに対する応答能におけるパールカンの機能解析をすすめ、当初予定していた27年度の計画であるストレッチをかけたmSMCsより3次元培養を行い,軟骨分化およびその後の骨分化に関して,形態学的および分子生物学的解析を行い,パールカンの機能を明らかにする. これまでの遅れは使用する細胞の変化による実験の至適条件の設定に時間がとられた事が原因であり、今年度の実験についてはすでに実験の経験があるため、今後の研究の進行は予定通りできると考えられる。
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Causes of Carryover |
26年度分の実験に遅れが生じたため、その予算使用にも遅れが生じ、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の実験計画は26年度の実験計画を取り戻せるように現在も進めており、当初予定していた26年度分の実験及び27年度分の3次元培養の実験にて予算を使用する予定である。
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