2014 Fiscal Year Research-status Report
全身麻酔薬が術後創傷治癒に与える影響-血管平滑筋細胞の遊走・増殖能から見た検討-
Project/Area Number |
26861227
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
飯田 美紀 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (10402174)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 血管平滑筋細胞遊走 / PDGF-BB / 静脈麻酔薬 / 細胞内情報伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
血管平滑筋細胞の遊走は,血管損傷の修復、動脈硬化性病変の進展や血管形成後の再狭窄において重要な役割を果たしている。我々はこれまでに強力な血管平滑筋遊走因子であるPDGF-BBがp44/p42 MAP kinase経路およびPI3K/Akt経路を介して培養血管平滑筋細胞(A10細胞)の遊走を制御していることを報告した。今回、4種類の静脈麻酔薬が培養血管平滑筋細胞の遊走に及ぼす影響とその機序を検討した。 その結果、1. propofol、midazolamは血管平滑筋細胞の遊走を抑制したが、 ketamine、dexmedetomidineは影響を与えなかった。ヒト初代培養血管平滑筋においても同様の結果が得られた。2. propofol、midazolamはPDGF受容体のリン酸化には影響しなかった。3. propofol、midazolamはPDGF-BBによるp44/p42 MAP kinase、Aktのリン酸化に影響しなかった。4. propofol、midazolamはPDGF-BBによるp38 MAP kinaseのリン酸化を抑制したが、SAPK/JNKのリン酸化には影響しなかった。5. ketamine、dexmedetomidineはPDGF-BBによるp38 MAP kinaseのリン酸化に影響しなかった。 以上より、propofol、midazolamはPDGF-BBによるp38 MAP kinaseのリン酸化抑制を介して血管平滑筋細胞の遊走を抑制している可能性が示唆された。動脈硬化を有する患者、外科的あるいはカテーテルによる血管治療後の患者ではpropofol、midazolamは血管平滑筋細胞機能に影響を与える可能性がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の結果をまとめ雑誌に投稿、受理された。
|
Strategy for Future Research Activity |
静脈麻酔薬が細胞遊走以外に血管平滑筋細胞におよぼす影響とその機序を検討する。
|
Research Products
(2 results)