2016 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of opioid effects against tumor proliferation and life prognosis
Project/Area Number |
26861232
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
大槻 明広 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (00379637)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | オピオイド / オピオイド受容体 / A549 / モルヒネ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、オピオイド鎮痛薬が癌細胞の増殖効率にどのような影響を与えるかを検討した。まず、モルヒネおよびフェンタニルで3日間処理後の細胞数の変化を、A549、Hela、MCF7、HCT116、U2OS、ヒト由来扁平上皮がん培養細胞(SCC)で比較した。モルヒネ1000mMで処理した場合のみ、有意に生存率が低下した。次にA549細胞をオピオイドで処理しコロニーフォーメーションアッセイを行ったところ、高濃度モルヒネだけでなく、高濃度フェンタニルでも同様に生細胞数が減少する傾向がみられた。また、A549およびMCF7の細胞生存率をMTTアッセイで比較したところ、A549では高濃度フェンタニルで生存率の低下が、中~高濃度モルヒネでは増加がみられ、MCF7では、高濃度モルヒネのみで細胞生存率の低下がみられた。さらに、A549、Hela、MFC7、HCT116、U2OS、SCCでのモルヒネ受容体の発現量をRT-PCRで比較したところ、μ受容体 mRNAの発現量はU2OSとMFC7で高かった。κ受容体とδ受容体のmRNA発現量も同様の傾向を示した。また、1nMのフェンタニル投与によりA549でのmRNAは5倍程度に上昇したが、100nMのモルヒネ投与では変化を示さなかった。以上より、高濃度モルヒネおよびフェンタニルは腫瘍細胞への増殖を抑制するが、MTTでは、モルヒネ中~高濃度処理で増殖促進作用を示す場合があることから、細胞分裂に対する影響、細胞死への影響、細胞接着への影響などが複合して腫瘍細胞の生存率に関与していると考えた。また、オピオイド投与後のオピオイド受容体の発現量の変化が、モルヒネとフェンタニルで異なり、このことが細胞増殖に与える影響の差と関連している可能性がある。
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