2014 Fiscal Year Research-status Report
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26861234
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
黒木 千晴 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (20725650)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | TRPA1 / 低酸素 / 三叉神経 / 覚醒 / 呼吸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はTRPA1が呼吸ガスの中の酸素濃度を体内に取り込む前に感知し、呼吸変化を引き起こす早期警告系としての役割を持つのではないかという仮説を検証することであった。鼻腔三叉神経における、TRPA1による軽度低酸素の感知は、重度低酸素となる前に防御反応としての覚醒、呼吸の活性化を引き起こし、早期警告系としての役割を持つことが明らかになった。 生理学的変化を調べ、自然睡眠からの低酸素刺激による覚醒および呼吸活性化にTRPA1を介した入力が重要であることが明らかになった。TRPA1からの入力神経を検討するため、低酸素刺激による三叉神経の活性化を細胞外シグナル調節キナーゼリン酸化体によって確認し、TRPA1チャネルを介した入力は重度低酸素より軽度低酸素においてより意義をもつことが明らかとなった。鼻腔内三叉神経にTRPA1および低酸素感受性を付与するプロリン水酸化酵素が存在することを組織科学的に証明した。鼻腔三叉神経、気管迷走神経を別々に刺激するため、上気道と下気道を分離換気して低酸素刺激を行い、鼻腔三叉神経の役割が重要であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鼻腔三叉神経における、TRPA1による軽度低酸素の感知は、重篤な低酸素となる前に防御反応としての覚醒、呼吸の活性化を引き起こし、早期警告系としての役割を持つことが明らかになった。行動変化、生理学的変化、免疫組織など、それぞれの実験について方法が確立し、今後の研究も順調に進捗することが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
軽度低酸素と重度低酸素におけるTRPA1からの入力の意義についてさらなる検討を行う。 鼻腔三叉神経による低酸素の感知と血中酸素濃度変化の関連、頸動脈小体の舌咽神経からの入力との関連などについても検討が必要である。循環、体温など、その他の生理学的変化についてもTRPA1の役割を検索する。
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Causes of Carryover |
概ね計画通りに使用できたが、物品費などに差額が生じたため、次年度へ繰り越すこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験用消耗品の購入に使用予定である。
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Research Products
(3 results)