2015 Fiscal Year Research-status Report
有機リン中毒性痙攣の危険因子、および各種抗痙攣薬の治療効果の研究
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26861238
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
高田 幸昌 札幌医科大学, 医学部, 助教 (70530608)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 有機リン / 中毒 / けいれん / 海馬 / カリウム / パラオキソン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、有機リン系コリンエステラーゼ(OP-ChE)阻害薬誘発性けいれん波モデルに対する、有機リン中毒の臨床的治療薬であるプラリドキシム(PAM、オキシム剤)およびアトロピン(ムスカリン受容体遮断薬)の効果検討を行った。OP-ChE阻害薬誘発性けいれん波の活動性は単発の電気刺激で発生する多発性スパイクの発生率とスパイク数で評価した。PAMおよびアトロピンはパラオキソンに対する前、同時、後投与を評価した。 PAMの前投与は、パラオキソンによるPS amplitudeとfEPSP slopeの低下を防止した。PAMとパラオキソンの同時投与は、PS amplitudeとfEPSP slopeを低下させた。PAMの後投与は、パラオキソンによるPS amplitudeとfEPSPの低下を防ぐことができなかったが、Wash outによりPS amplitudeの回復を認めた。また、すべての投与手段において、PAMは多発性スパイクの発生率とスパイク数を減少させなかった。 アトロピンの前投与は、パラオキソンによるPS amplitudeとfEPSP slopeの低下を防止した。アトロピンとパラオキソンの同時投与は、PS amplitudeとfEPSP slopeに影響を与えなかった。アトロピンの後投与は、パラオキソンによるPS amplitudeとfEPSP slopeの低下を回復させた。また、すべての投与手段において、アトロピンは多発性スパイクの発生率を減少させた。前投与および同時投与ではスパイク数を減少させた。 以上の結果から、高カリウム濃度におけるパラオキソンによる誘発性けいれん波は、わずかなムスカリン受容体刺激でも起こりうる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年の検討では、パラオキソン誘発性けいれん波に対するPAMおよびアトロピンの治療効果を実験的に検証した。この結果は、本研究の目的であるOP-ChE阻害薬による誘発性けいれんに対する治療薬の有効性の違いを示唆するものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、27年度に検討できなかった、OP-ChE阻害薬誘発性けいれん波に対する各種麻酔薬、抗てんかん薬の効果を検討していく。また、現時点までの研究内容を国内外学会において発表いていく。
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