2015 Fiscal Year Research-status Report
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26861248
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
鵜澤 康二 杏林大学, 医学部, 助教 (30530703)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 末梢循環 / 6%HES130 / DSC / 輸液 / 急性出血 |
Outline of Annual Research Achievements |
麻酔や集中治療領域における微小循環生理の病態解明は、医学の発展に必須の課題である。本研究の目的は、大量出血や敗血症等の危機的状態に対する治療効果の判定やその正確な病態生理を微小循環レベルで可視化し、その内皮細胞機能を解明することにある。また、重症病態における血管透過性亢進は、細胞間相互作用により複雑に調整されており、大量出血病態と敗血症病態で内皮細胞の機能は異なっていると予想される。 平成26年度の最大の成果は、大量出血モデルと敗血症モデルのマウスでの作成である。敗血症モデルではマウスを3群に分け、体重減少の50%量の6%HES130を投与(HES群、N=7)、同量の生理食塩水を投与(生食群、N=6)、投与なし(対照群、N=6)とした。また、同様に郡分けされた急性出血モデル(60%脱血モデル:Hb5前後、N=15)に関し、その蛍光強度を測定した。敗血症モデルでは、FITC-DEX40kDでは、その低下はHES群で最も低く、FITC-DEX75kDでは、その上昇を抑制した(P<0.05)。急性出血モデルでは、HES投与群(N=5)でFITC-DEX40kDの蛍光強度は低い傾向であった。HES群では、FITC-DEX40/75kDの蛍光強度が小さく、透過性亢進病態を抑制する事が示唆された。 平成27年度は脱血モデルに限定した。脱血モデルにおける生食群とHES群の血液データの採取とその予後の比較を行った。結果は、6%HES130投与により重症病態における末梢循環は改善した。また、牛アルブミンを使用しその微小循環を観察し、そのグリコカリックスの染色の予備実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度にマウスのモデル作成に関して、予想以上に時間がかかり、当初の実験計画を大幅に修正することを余儀なくされた。白血球の吸着能の評価のためのローダミン6Gの投与や電子顕微鏡での撮影は実行できなかった。平成27年には、FITCやTMRを用いた蛍光色素の透過性に関する重症病態時の生体微小循環観察を順調に行った。急性出血病態におけるHESの投与が病態初期の血管透過性の亢進を抑制し、血液ガスデータやその予後を有意に改善した。その結果を日本麻酔学会総会やSCCM(アメリカ集中治療学会)で発表した。しかし、初年度の影響もあり、アルブミン投与の変化を捉えることはできなかった。今後、平成28年度に継続研究を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
各病態での血管透過性の変化を観察することにより、内皮細胞の構造変化を推測し、光学顕微鏡と電子顕微鏡の時間的空間的な画像を補足する。様々な重症病態での双方の比較は世界的にも皆無であり、すべてを平成28年度で行うことは、困難であることが予想されるため、病態を脱血モデルに限定して、内皮細胞構造変化を捉えることを試みる。
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Causes of Carryover |
初年度に計画されていた、脱血モデルの作成及び敗血症モデルの作成に関して、当初想定の3か月からほぼ1年かかってしまい、予定されていた学会発表や論文投稿、英文校正費用の支出がなかったことによる。また、アルブミン投与実験が未実施であるためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会発表や論文投稿、アルブミン投与の実験を行う予定であり、当初の計画通りに支出予定である。
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Research Products
(7 results)