2014 Fiscal Year Research-status Report
前立腺におけるWntシグナル機能解明と去勢抵抗性癌の新規治療の探索
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26861259
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 さゆり 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40313217)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 前立腺癌 / Wntシグナル / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究の成果の具体的内容】H26年度研究計画に基づいて、前立腺間質細胞WPMY1,PrSCを入手しDHT投与、RNA抽出しRT-PCRにてAR発現が誘導されることを確認した。それに伴いWnt5aの発現が上昇したためWnt5aのプロモーターを作成、リポーターアッセイを施行。DHT投与にてルシフェレース活性が10倍以上強まりWnt5aがARの下流遺伝子である可能性が高まった。そこでさらにChiPアッセイを施行、Wnt5aのTSS部位にARの強い結合がみられbinding ドメインを同定することに成功した。当院の倫理審査を経て、顕微鏡下レーザーマイクロダイセクション法による患者前立腺癌検体を用いた実験では、前立腺癌を間質、正常上皮、癌、癌周囲間質に分離し各RNA発現をみたところ、Wnt5aが間質で強く発現していたが、Wnt5bは上皮、間質に発現の差がないことが分かった。H27年度の計画であったが、骨芽細胞に分化可能の骨肉腫細胞のRNA抽出を行い、WntsファミリーのRT-PCRを行ったところWnt5aとWnt5bが強く発現しており前立腺間質細胞のパターンと酷似していることが分かった。 【研究の意義・重要性】前立腺癌における間質―上皮コミュニケーションは十分に解明されておらず、Wnt5aが間質に発現し癌細胞の増殖を促進することが示唆され意義は大きい。またAR依存性の臓器である前立腺においてARシグナルがWnt5aの分泌を刺激することが解明されたことは、新規治療薬の創薬の点からも意義の大きい発見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
H26年度に計画していた内容は期待通りの成果が出たため、さらにH27年度に予定していた骨組織における実験に着手し新たな治験を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、骨芽細胞の他、破骨細胞も入手し解析を進めていく予定である。Wnt5aを中心に実験を行っていたが、Wnt5bの発現も患者検体において多く見られたためWnt5bノックアウトマウスを入手し解析を行うことを検討する。またWnt5aとWnt5bが骨細胞でも強く発現していることが分かったので、前立腺癌によく生じる骨転移にWntシグナルが関連している可能性が高まったため患者血清を用いたELISAを行い骨転移バイオマーカーとしての可能性を探索する。
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