2015 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外基質への接着に伴うΔNp63発現低下を介した膀胱癌の浸潤転移機序の解明
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26861268
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉田 栄宏 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座助教 (80583624)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 膀胱癌 / 転移 / p63 / 細胞外基質 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌細胞株を細胞間接着が保たれた多細胞塊の状態で培養すると、単一細胞で浮遊培養した際に生じる細胞死(anoikis)が劇的に回避された。癌細胞株を多細胞塊として扱うことで、安定して浮遊状態で培養することが可能となった。次に、浮遊状態の多細胞塊では接着状態に比べて癌細胞のΔNp63α蛋白の発現が顕著に上昇していることを発見した。ΔNp63αのmRNA発現は変化が無く、蛋白量の発現低下はMG132およびGSK3阻害剤により抑制されたことから、接着によるΔNp63αの発現低下にはproteasomeによる分解が関与していた。接着状態では浮遊状態に比べてE-cadherinの発現が低下し、N-cadherinの発現が上昇していた。 続いてin vitroで膀胱癌の腔内播種モデルを作製した。浮遊状態で培養した多癌細胞塊を2次元培養した正常尿路上皮細胞(SV-HUC)に静置すると、癌細胞は尿路上皮細胞を排除して、上皮細胞下の細胞外基質に接着した。なお癌細胞株だけではなく、手術検体から直接調製した初代培養癌細胞スフェロイドでも、接着によるΔNp63αの発現低下、proteasomeによる分解、E-cadherinの発現低下、尿路上皮細胞下の細胞外基質への接着を確認した。 さらに播種モデルにおけるΔNp63αの関与を、ΔNp63α強制発現・ノックダウン株を用いて検討した。尿路上皮細胞下の細胞外基質への接着面積はΔNp63α強制発現株では減少し、ノックダウン株では増大した。 また経尿道的に切除した筋層非浸潤性癌の臨床検体を免疫組織染色し、ΔNp63の発現と膀胱内再発との相関を検討したところ、ΔNp63染色スコアは非再発群が再発群と比較して有意に高かった。
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