2014 Fiscal Year Research-status Report
腎移植拒絶反応における血中ケモカインの動態解析と新規バイオマーカーへの応用
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26861269
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山中 和明 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (10648017)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 腎移植 / 急性細胞性拒絶反応 / ケモカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
2008年1月から2012年4月までに移植腎生検を行った腎移植患者を対象とし、Protocol biopsyでは移植腎生検決定時に血清が保存されているもの、episode biopsyでは14日以内に血清が保存されているものを使用した。明らかな感染症を併発するものは除外した。合計81名88サンプル。Cytometric Bead Array法(CBA)を用いて、それらの血清中のChemokine(CCL2, CXCL9, CXCL10, CCL5)を測定し、移植腎病理組織診断と血清中のChemokine濃度を比較検討した。急性細胞性拒絶反応のサンプルは19検体、非急性細胞性拒絶反応のサンプルは69検体で2群間の患者背景に有意差は認めなかった。CBAの結果、T細胞に発現しているCXCR3,CCR5のリガンドであるCXCL9, CXCL10, CCL5は非急性細胞性拒絶反応症例と比較し、急性細胞性拒絶反応症例において有意な上昇を示した。さらに、それらのケモカインのうち血清CXCL10濃度と急性細胞性拒絶反応との関係はROC下曲線面積が0.89であり、カットオフ値180.3pg/mlでは感度89.5%、特異度79.8%であった。以上から、CXCL10が急性細胞性拒絶反応発症の予測には最も強い関連があることが示された。移植腎生検標本における免疫組織染色でも、血清CXCL10濃度高値症例で尿細管におけるCXCL10の強い発現を認めた。現在、ラットの腎移植モデルを作成し、さらに急性細胞性拒絶反応とケモカインの関係について検討予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究予定では、平成26年度にヒトサンプルを用いて、その結果をラット腎移植モデルを使用し検証していく予定としていたが、ヒト検体のケモカインの測定を行う際に、血清中ケモカインが微量のため、CBAでの測定方法が安定するまでに時間がかかったため、ラット腎移植モデルの作成の開始が遅れた。現在では、すでにラット腎移植モデルを作成し始めており、今後回収してきたサンプルを解析していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、ラット腎移植急性拒絶反応モデルを用いて、特定されたケモカインおよびケモカイン受容体の発現について、RT-PCRおよび免疫組織染色により継時的変化を解析する。さらにケモカインを抑制することで移植腎生着率が改善するかを検討する。そこで得られた結果を元に、そのケモカインが移植腎の病態予測および急性もしくは慢性拒絶反応の発症予測もしくは治療効果判定に有用であるかを当科で施行された腎移植患者において、前向きに検討する予定である。
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