2015 Fiscal Year Research-status Report
膀胱がんに対する磁性ナノ粒子を用いた温熱治療の開発とその治癒メカニズムの解明
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26861283
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
小林 大地 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80570704)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | MCL / Thermotherapy |
Outline of Annual Research Achievements |
高容量のMycobacterium bovis bacillus Calmette-Guerin(BCG)を膀胱内に注入することによるBCG膀胱内注入療法は臨床的有効性が最も確立したがんに対する免疫治療であり、高リスク表在性膀胱がんの標準的治療となっている。しかしながら、生菌を使用していることから全身への菌播種の危険性を回避することはできない。私たちは正電荷リポソーム包埋型磁性ナノ粒子(Magnetic Cationic Liposome: MCL)を発熱体とする新たな温熱治療(MCL Thermotherapy)を開発し、前立腺がんをはじめ様々ながんの増殖抑制効果を報告してきた。その研究で私たちは、MCL ThermotherapyのMHC分子を介した強い抗腫瘍免疫の誘導を見出した。本研究ではMCLを膀胱内に注入し高リスク表在性膀胱がんに対する新たな保存的根治的治療法の開発をすることが目的である。 私たちは、これまでに新たながん治療の開発を目的に、MCL Thermotherapyの基礎研究を一貫して行ってきた。ラット前立腺がん皮下移植モデルでの抗腫瘍効果、ヒト前立腺がん細胞株の腫瘍完全退縮効果、さらにラット前立腺がん頭頂骨モデルおよび、大腿骨転移モデルにおける強い腫瘍免疫活性の誘導を明らかにし、その過程でHSP70の発現とCD8陽性Tリンパ球誘導サイトカインであるIFN-γ,IL-2の発現増強が免疫賦活に関与することを証明した。これらの研究成果を踏まえて、膀胱がんが免疫治療に対して感受性が高いことから、局所制御に優れているMCL Thermotherapyとがん転移巣の制御に優れているがん免疫治療を融合させ、全身治療に応用することはできないかと考えた。MCL Thermotherapyとがん免疫治療を併用することにより、浸潤性膀胱がんに対する新たな膀胱温存根治治療の開発を目的とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
0.05%のBHBNの自由飲水により高リスク非浸潤性膀胱がん(上皮内がん)マウスを作成した。膀胱がんマウスにおいては4週から26週にかけ、過形成、異形成、上皮内がん、浸潤がんと進行していく。発がんマウスの作成に時間を要したため、結果的にやや遅れている。さらに、BALB/c Slc-nu/nuにT24:1×106 cells/100 μlを背中の左右に皮下移植し、モデルマウスを作成予定であるが、生着率が悪く、時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
作成したモデルマウスを用いて、片側のみをMCL Heat Therapyにて治療する。私たちはすでにMCL heat therapyにおける、最適な治療時間・治療間隔・治療回数などは証明済みである。30分以上の治療時間、2日おきの治療、複数回治療を繰り返すことで、治療効果は高まる。MCLの注入の有無により2群に分ける(各5匹ずつ、計10匹):(1)MCL注入群 (2)MCL非注入群 MCLの濃度は33mg/ml、用量は100μ/回、2方向から腫瘍中心部に5μ/minの速度で注入する。両群共に交番磁場を照射、照射時間は30min/回、2日おきに施行し、施行前に毎回MCLを注入する。施行回数は、腫瘍塊が消失するまで繰り返す。消失した場合MCL Heat Therapyは中止とし、局所再発を認めた場合、再開する。その治療効果を両側の腫瘍体積の変化および病理組織学的検査により解析する。組織学的検討はH-E染色にて、MCLの集積は鉄染色にて評価する。またwestern blotting法にてHSP-70,IL-2,IFN-gamma,CD4,CD8など免疫組織化学的に検討する。
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