2014 Fiscal Year Research-status Report
新規ヒストンメチル化修飾薬NCL1による前立腺癌治療法確立のための基礎的研究
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26861284
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
惠谷 俊紀 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 臨床研究医 (30600754)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | LSD1阻害 / 細胞周期停止 / アポトーシス / 動物モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
【対象と方法】①NCL1による前立腺癌細胞株への増殖抑制効果の検討:前立腺癌細胞株LNCaP・PCai1・PC3を用いてウェスタンブロットを行いLSD1の発現を検討した。WSTアッセイを行い、生存細胞数に与える影響を検討した。②NCL1の抗腫瘍効果のメカニズムの検討:LNCaPを用いてクロマチン免疫沈降法を行い、増殖に関与すると思われる遺伝子領域のメチル化状態の変化を検証した。また、NCL1の抗腫瘍効果のメカニズムの検討のため、ウェスタンブロットおよびフローサイトメトリーを施行した。③動物モデルにおけるNCL1の抗腫瘍効果と有害事象の検討:PCai1を6週齢ヌードマウスの背部に皮下移植し、NCL1を週2回腹腔内投与した。週2回、体重および腫瘍体積を測定し、投与開始後8週でサクリファイスを行った。 【結果】①LSD1は、いずれの細胞株においてもよく発現しており、NCL1投与群では、いずれの細胞株においても濃度依存的に生存細胞数が減少していた。②NCL1投与群では、ELK4・KLK2の各遺伝子のプロモーター領域において、H3K9のメチル化が亢進していた。ウェスタンブロットではp21、p27、Cleaved caspase3の増加およびCyclin D1、CDK2、CDK4の低下が認められ、フローサイトメトリーではNCL1投与により、細胞周期停止およびアポトーシスが誘導されていた。③NCL1投与群ではコントロール群に比べ有意に腫瘍体積が小さく、組織学的評価では腫瘍に空泡変性を多く認め、TUNELの染色性が増加していた。体重、相対臓器重量、および血清生化学検査では、NCL1による有害事象は認めなかった。 これらの結果から、NCL1が前立腺癌に対して細胞周期停止およびアポトーシスの誘導により抗腫瘍効果を発揮していること、また生体内においても有効であることを確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請時における研究計画では、平成26年度において、(1) 前立腺癌細胞株を用いたNCL1の細胞増殖抑制効果の検証とメカニズム解明(平成26年度)、(2) NCL1を用いたLSD1阻害による制癌作用ならびに生体に及ぼす影響を検証(平成26年度)、を予定していた。現在のところ、おおむね順調に推移していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度においては、申請書に記載した研究計画に沿い、ヒト前立腺検体を用いたLSD1タンパク発現と生命予後との関連の解析を行っていく予定である。
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Research Products
(6 results)