2015 Fiscal Year Research-status Report
浸潤性膀胱がん発生に関わるUQCRBをターゲットとした治療法の開発
Project/Area Number |
26861286
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山田 健司 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80566232)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | UQCRB / 膀胱癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
膀胱の発がん進展過程は未だ不明な点が多い。近年、がんは遺伝子変化の集積に伴って多段階で生じ、染色体レベルでのゲノムの不安定性(Chromosomal instability:CIN)がみられることが解明されてきた。しかし、膀胱がん患者は遺伝・環境背景が多様でCINの解析は困難であった。このことから私は、膀胱がんモデルマウスを用いてCINを検討することにより、ヒト膀胱発がんに関わる遺伝子の同定と解析を行うことを目的として当該研究を行った。6週齢のC57BL/6N雄マウスに0.05% N-butyl-N-(4-hydroxybutyl) nitrosamineを自由飲水投与し、膀胱がんモデルマウスを作成した。本モデルマウスは投与開始後4週で過形成、12週で高度異形成、20週から26週にかけて浸潤性膀胱がんを発生するため、各々の時期の膀胱組織よりDNAを抽出しarray CGH解析を行った。array CGHの結果、2D、9F2、11C-D、13B3、14C2の5領域にコピー数の増加を認めた。その領域にある19個の遺伝子の中で、1コピー以上の増加を認め、ヒトとの相同性が明らかな遺伝子はUQCRBのみであった。モデルマウスを用いた解析:UQCRBのCNA比は4週後より増加傾向を示し、12週後でピークを認め、26週後では減少する傾向にあった。また、免疫組織学的検討ではUQCRB、iNOSともに4、12週後と徐々に発現の上昇を認めたが、26週後では、浸潤がん部で発現が低下する傾向にあった。ヒト膀胱がん組織を用いた解析:深達度の上昇に伴いCNA比は減少する傾向にあった。免疫組織学的検討において、UQCRBは表在がんでは強く均一に発現していたが、浸潤がん部では不均一な発現傾向を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
siRNAを用いた機能解析実験でノックダウン効率にばらつきがあり再現性に乏しかった。
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Strategy for Future Research Activity |
動物モデルを用いて、発がん過程におけるUQCRB、apoptosis関連タンパク、血管新生関連タンパク、iNOSについて免疫染色を行うことで、発がんまでのタンパク発現の継時的変化を比較検討することでUQCRBとがん関連タンパクの関係を考察する。またin vitroでの機能解析実験も続行する。
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