2014 Fiscal Year Research-status Report
ナノ磁性ビーズを用いたmTOR阻害薬の抗腫瘍効果メカニズムの解析
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26861287
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
大石 正勝 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (90405316)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 腎細胞癌 / mTOR阻害薬 / ケミカルバイオロジー / 結合タンパク / ナノ磁性ビーズ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はmTOR阻害薬の新たな標的分子を発見することで、抗腫瘍効果の作用機序の解明や抵抗性の克服、あるいは標的分子に基づいた合理的で強力な新規抗がん剤の開発を目標に行っている。 具体的には2種類(A, B)のmTOR阻害薬、3種類の薬剤感受性の異なる腎癌細胞株(a, b, c)を用いて研究を施行している。まず、mTOR阻害薬A, Bのa, b, cに対する抗腫瘍効果を精査した。これによりmTOR阻害薬の種類による感受性の違い、細胞株による感受性の違いが確認された。次に、カルボキシル基を持った、ナノ磁性ビーズにmTOR阻害薬を結合させ、mTOR阻害薬結合ビーズを作製した。この薬剤結合ビーズと、感受性の違いが顕著であった、細胞株2種類を用いて、mTOR阻害薬結合タンパクを精製した。これらの薬剤結合タンパクを比較し、薬剤、細胞間で共通に結合するタンパクや一方でしか結合していないタンパクを確認した。 これらの結合タンパクを、MALDI-TOF(マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型)質量分析法を用いて、それぞれのmTOR阻害薬結合タンパクを同定した。8個解析したが、同定できたのは現在のところ4種類である。この4種類のうちがんの増殖に関係していると思われるタンパクを認めており、今後タンパクの抗体を用い結合の確認、RNAiを用いて腎細胞癌株への関与、mTOR阻害薬の抗腫瘍効果における関連について精査していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の達成度についてはおおよそ予定通り進行しているが、結合タンパクの癌に対する増殖抑制等の関与の検証についてはいくつか既報を確認した状態である。これらの既報もふまえて、実際の腎癌における関与の検証を行うべく、現在準備中である。今後、科研申請書あるいは12に記載の通り、研究を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記で確認した結合タンパクが腎癌の増殖抑制や抵抗性に関与しているか否かをRNAi法による結合タンパクの発現抑制を行うことで調べる。癌細胞の増殖に変化が見られた場合は、フローサイトメーターを用いて細胞周期停止や細胞死誘導などの影響を調べ、さらに関連蛋白の量の変動をウエスタンブロット法により解析する。 また、結合タンパクを介して、mTOR阻害剤が癌細胞の増殖を抑制しているか否かを検証する。具体的には腎癌細胞株において結合タンパクの過剰発現またはRNAi法による発現抑制を行う。そこにmTOR阻害剤を添加し、癌細胞の増殖抑制が減弱するか否かを評価する。この、検証により、mTOR阻害剤が結合タンパクを介することで癌の増殖を抑制しているか否かが明らかになる。 mTOR阻害剤による癌の増殖抑制の標的分子として明らかになった結合タンパクについて、実際に癌の増殖に関与しているか否かを検証する。マウスを用い、腎癌細胞株を移植し、結合タンパクに対するRNAiを投与したり、mTOR阻害剤を併用し、抗腫瘍効果を検索する予定である。
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