2015 Fiscal Year Research-status Report
がん幹細胞と上皮間葉転換による膀胱上皮内癌のBCG療法抵抗性の解明
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26861289
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
井上 剛志 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (30719539)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 膀胱癌 / がん幹細胞 / 上皮間葉転換 / BCG |
Outline of Annual Research Achievements |
膀胱上皮内癌の臨床試料(パラフィンブロック)を用いて、幹細胞マーカー(SOX2, OCT3/4, Nanog, Snail)の発現とBCG治療抵抗性の有無を免疫染色により検討した。1)免疫染色の評価はAllred scoreを用いた。膀胱上皮内癌30例の検討では全症例で、SOX2, OCT3/4, Nanog, Snail発現は2-4点であり、BCG抵抗性を示した9例と、BCGが奏功した21例に有意差を認めなかった。 2)一方、腫瘍組織から抽出したDNAを用いたDNAメチル化定量解析では、BCG抵抗例と奏功例で、SOX2とOCT3/4のDNAメチル化レベルはBCG抵抗例で有意に低かった。一方、NanogとSnailのDNAメチル化レベルには有意差を認めなかった。3)さらに、H3K9m3(DNAヒストンH3、9番目のリジンのトリメチル化)の発現を免疫染色にて上記2群で比較すると、BCG抵抗症例では有意に発現が低下していた。これらの結果より、膀胱上皮内癌において、幹細胞マーカーの発現に差は認めなかったが、幹細胞遺伝子発現を促進するエピジェネティク機構がBCG抵抗症例においては正の方向に相関することが示された。一方、上皮間葉転換に関与する遺伝子群はタンパクレベルの発現においても、エピジェネティクス遺伝子発現制御機構においても膀胱上皮内癌のBCG抵抗性のマーカーとして有用でない可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
遠心分離機の故障の為、in vivoでの検討が行えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
in vivoでの解析を継続して行う。
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Causes of Carryover |
遠心分離機の故障により、in vivoでの検討が行えず、実験動物および試薬の購入が行えなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遠心分離機と動物実験用試薬を購入する予定である。
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