2014 Fiscal Year Research-status Report
アポトーシスマーカーをターゲットとした尿路上皮癌細胞株での治療戦略の確立
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26861294
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉峰 俊輔 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (70445245)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 膀胱癌 / 抗癌剤 / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究の結果、Bcl-xL タンパクの発現が上部尿路上皮癌患者の予後規定因子であることを立証し、small interfering RNA(siRNA)を導入した尿路上皮癌細胞株において、Bcl-xLタンパクの発現を減弱させることによる抗腫瘍効果が得られることを確認している。 これらの結果を基に、新規分子標的治療薬であるABT-737を今回の研究で使用した。ABT-737はBcl-xLを含めた、Bcl-2関連タンパク阻害剤である。尿路上皮癌細胞での抗腫瘍効果、抗癌剤との併用効果の検討では、膀胱癌細胞株としてT24、5637細胞株を使用した。ABT-737単剤投与、シスプラチン単剤投与、ABT-737とシスプラチン併用投与での膀胱癌細胞株に対する抗腫瘍効果をWST-1にて解析を行った。その結果、ABT-737、シスプラチンともに単剤投与での抗腫瘍効果を確認することができただけでなく、併用投与によりさらなる抗腫瘍効果を認めた。 また、同細胞株を使用したウエスタンブロットでの解析では、ABT-737投与に伴うBcl-2ならびにBcl-xLタンパク発現には影響を与えないことが確認された。Bcl-xLの発現調節因子であるSTAT3の発現、リン酸化に対する直接的な影響は認められなかった。 T24細胞株と5637細胞株における遊走能比較試験ではABT-737単剤投与、シスプラチン単剤投与、ABT-737とシスプラチン併用投与群で比較した結果、それぞれの群で薬剤投与による遊走阻止効果を確認されたが、併用群では更なる効果が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ABT-737を使用した抗腫瘍効果、抗癌剤併用による付加的効果を確認することができたことは、おおむね実験結果の想定と合致している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の予定として、In vitro、In vivo におけるABT-737 とシスプラチン等の各種抗癌剤併用での細胞周期、血管新生、アポトーシス、転移抑制に及ぼす影響の検討:膀胱癌細胞株ならびにマウス摘出腫瘍標本の細胞周期(p53、p21、p27、pRB、cyclinsD1/E1、Ki-67)、血管新生(CD-34、VEGF、basic FGF、angiostatin、endostatin、thrombospondin-1)、アポトーシス関連蛋白(Bcl-xl、Bcl-2、caspase-3、caspase-9、Bcl-w、Mcl1、Bak、Bax、IAP等)、転移浸潤(MMP、TIMP、E-cadherin)などの蛋白の検出を免疫染色法にて確認する。microarray analysis にてup-あるいはdown-regulate していたmolecule に注目し、in vitro で変化していたタンパクの発現を中心にin vivo の変化を検証する予定である。 臨床検体での検討:当教室で保存している臨床検体(表在性、浸潤性膀胱癌ならびに上部尿路上皮癌)を免疫組織学的にアポトーシス関連タンパク、ならびに細胞周期、血管新生、転移浸潤因子等を染色し、臨床経過プロファイルを統合させ、発現の差により患者の生命予後がどういった相関、関連があるかを検討する予定である。
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