2014 Fiscal Year Research-status Report
喫煙による膀胱癌治療への影響の解明と新規治療戦略の検討
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26861295
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
弓削 和之 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (70464906)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 喫煙 / ニコチン / シグナル伝達 / 抗癌剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
尿路上皮癌において喫煙は発癌だけではなく、癌の再発・進展に関連しているとの報告が散見される。本研究では喫煙と膀胱癌再発の関連を調査すると共に、ニコチンによる尿路上皮癌に対するシグナル伝達を介した、特にPI3K/Akt経路への影響の解明と新規治療戦略を導く事を目的とする。当教室のデータベースにおいて長期禁煙は膀胱癌の膀胱内再発率を有意に低下させることが確認された。In vitroでの実験系において、膀胱癌細胞株T24にはニコチン性アセチルコリンレセプターのサブユニットであるα4、α7、β2が存在することを確認した。ニコチンをT24膀胱癌細胞に曝露することで、PI3K/Akt/mTOR経路の活性上昇を確認し、WST assayにて細胞増殖の促進を認めた。また、PI3K/mTOR阻害薬を用いることで、ニコチンによって活性化されたPI3K/Akt/mTOR経路の活性を抑制し、細胞増殖を有意に抑えることができた。また、α7ニコチン性アセチルコリンレセプターのアンタゴニストであるMLAをニコチンと同時曝露を行うと、PI3K/Akt/mTOR経路の活性が抑制されたが、完全に抑制できるものではなかった。 ニコチンによるPI3K/Akt/mTOR経路を介したT24の腫瘍増殖上昇およびPI3K/mTOR阻害剤を用いたその抑制効果を確認した。 今後、In vitroで確認された現象をIn vivoでの実験系で確認するとともに、現在膀胱癌治療で用いられている各種抗癌剤に対するニコチンの影響(抗癌剤耐性等)の解明を行う。抗癌剤耐性とニコチンの関連を解明することで新規治療戦略の開発を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでにIn vitroの実験系については実験がほとんど終了し、結果をまとめている。また、In vivoの実験系もすでに実験が施行中であり、年度内に結果をまとめられると予想されるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度中にIn vivoの実験系を施行することを目標としている。結果が確認でき次第、結果をまとめ、海外論文へ投稿する。
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