2014 Fiscal Year Research-status Report
脂肪酸受容体と内臓脂肪に着目した腎癌進展メカニズムの解明
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26861297
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小幡 淳 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20570865)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脂肪酸受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満に関連の深い腎癌において、メタボリックシンドロームへの関与が指摘されている脂肪酸受容体GPR120の動向と影響を検討する。 1.まず、GPR120をagonistであるGW9508で活性化することによる短期的な抗腫瘍効果とその至適濃度を調べるため、WST assayを用いて腎癌細胞株のCaki-1に種々の濃度のGW9508 (0nM(コントロール), 10nM, 100nM, 1000nM, 10000nM) を投与したが、明らかな抗腫瘍効果は認めず、また濃度の違いによる差も認めなかった。TNFあるいはLPSを加えた系においても、同様の結果であった。また、GW9508の替わりにDHAを投与した場合も、抗腫瘍効果は認めなかった。769-PやACHNといった他の腎癌細胞株においても、各濃度で明らかな抗腫瘍効果は認めなかった。 2.WST試験でagonistの至適濃度が同定できなかったため、まずは1000nMでGW9508をCaki-1に投与し、投与前、投与後24時間、48時間、72時間の細胞でWestern blotを行ったが、GPR120の発現に明らかな変化は認めなかった。濃度および細胞株を変えても有意な変化は認めなかった。 3.次に、Caki-1および769-PにGW9508を定期投与することによる長期の抗腫瘍効果を調べたが、2ヵ月間の観察期間を経ても細胞増殖能に明らかな変化を認めず、Western blot法によるGPR120の発現も明らかな上昇傾向あるいは低下傾向を認めていない。DHA投与群においても、同様に明らかな変化を認めていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
我々はGPR120の持つ抗炎症化作用のその機序から、癌との関連を予想し本研究の着想に至っているが、知り得る限りでは癌細胞におけるGPR120に関する研究はこれまでなされていない。そのため至適濃度や投与期間等で参考になるものがほとんどないため、それらを同定する作業から始めているが、有意な差や変化を認めるような結果がなかなか出てこないため、次のステップにおいてある程度条件を絞り込めるような意義のある示唆を与えることができず、それにより時間を要していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
agonist長期投与による抗腫瘍効果の確認を、細胞株や暴露条件などを変更して検討していく。また、腎癌症例の検体を用いて、各種脂肪組織と、腎正常組織および癌組織におけるGPR120の発現の評価を免疫組織染色にて行い、臨床データとの関連を検討する。
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