2014 Fiscal Year Research-status Report
AKR1C3に着目したステロイド生成系制御による難治性前立腺癌の新規治療戦略
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26861298
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
江崎 太佑 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (50598422)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 前立腺癌 / 去勢抵抗性前立腺癌(CRPC) / アンドロゲン・アンドロゲンレセプター軸 / CYP17A / 17βHSD |
Outline of Annual Research Achievements |
アンドロゲン・アンドロゲンレセプター軸は去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)の進展における中心的な役割を担い、アンドロゲン生合成系は治療標的として有用であることが明らかになってきた。昨年は、CRPCに対してアンドロゲン生合成系の中間酵素であるCYP17Aの阻害剤Abirateroneが本邦において臨床使用されるようになった。 本研究は、アンドロゲン生合成系を標的に、CYP17Aや、その下流に位置しテストステロンをAndrostendioneから生成する酵素である17βHSD type5(AKR1C3)など着目し、CRPCにおけるステロイド産生系の意義のさらなる解明と、その制御によるCRPCに対する新規治療戦略の確立を目的としている。 当教室では、ホルモン感受性前立腺癌細胞株においては、CYP17A 下流でDHTの律速酵素である5α還元酵素阻害剤によって細胞増殖能が低下するが、CRPC株においては低下を認めないことを報告してきた。アンドロゲン生合成系の制御がCRPCにもたらす抗腫瘍効果は、制御部位によって決してparallelではない可能性が示唆されている。今回、テストステロン生成系の各種阻害剤を用い、前立腺癌の進展過程におけるアンドロゲン生合成系の変遷を解明し、androgen receptor (AR)シグナル経路に着目した新規治療戦略の確立を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当教室においてアンドロゲン除去下での長期間培養により樹立されたCRPC細胞株モデル:LNCaP-ablと、同じくアンドロゲン除去下で樹立されたドセタキセル抵抗性ヒトCRPC株:CA-2AT6の2種類のCRPC株を含む、各種前立腺癌細胞株(LNCaP・LNCaP-abl・CA-2AT6)において、CYP17A阻害剤について抗腫瘍効果を検討した。LNCaP・LNCaP-abl・C4-2AT6は、同様にPTEN欠損・AR増幅・PSA産生の形質を備えつつ、それぞれホルモン感受性・去勢抵抗性・去勢抵抗性ドセタキセル抵抗性と異なった特徴を有する。この特徴は臨床における前立腺癌の進展プロセスと類似しており、この実験系を用いることで進展プロセスに着目したCRPCに対する新規治療戦略の構築を可能とする。検討の結果、CYP17A阻害剤は細胞株の依存性に応じて効果が異なることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、アンドロゲン生合成系におけるCYP17Aの下流の酵素であるAKR1C3の阻害剤も併用し、LNCaP・LNCaP-abl・CA-2AT6における効果について検討する。また、その際の細胞内タンパクを抽出し、アポトーシス誘導効果や細胞周期抑制効果を、フローサイトメトリーやwestern blotを用いて比較検討する。また、ARシグナル阻害剤を使用した際の、各前立腺癌細胞におけるandrogen receptorの発現を確認し、PI3K/Akt/mTOR pathwayをはじめとしたほかのpathwayの活性変化についても、western blot法を用いて各pathwayのタンパク発現を確認することで評価していきたい。
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